【1月14日 AFP】アフガニスタンへの国際援助は同国の福祉水準の改善を目的としている。だが、国際社会からの多額の援助にもかかわらず、首都カブール(Kabul)にある施設で生活する、戦争で両親を亡くした多くの子どもたちはその恩恵をほとんど受けていないのが現状だ。

 カブールにある児童養護施設「ウィンドウズ・オブ・ホープ(Windows of Hope)」では、運営者やボランティアのスタッフがわずかな予算でやりくりしながら、12人の子どもたちの世話をしている。

 厳しい状況の中でも、管理者のフローザンさんは必要最低限の、快適で安全な環境を提供する。ここで生活を共にしているのは、国際社会から資金援助を受けるアフガン政府や国際慈善団体から見放された子どもたちで、多くが重度の障害のある子どもたちだ。

 フローザンさんは「ここにいるのは世話をしてくれる人がいない子どもたち。常に誰かの助けが必要で、多くの問題がある」と語った。また、「多くが戦争で家族を亡くした犠牲者。精神的な問題も抱えていて、親族では面倒を見ることができない」と事情を説明した。

 2001年以降、アフガニスタンには米国主導で国際社会が、旧支配勢力タリバン(Taliban)に対して軍事作戦を展開すると同時に、大規模な復興、開発支援計画も実施してきた。

 支援計画では新しい学校や病院、道路、発電施設などが建設されたほか、成人に読み書きを教えるクラスや手工芸の講座、インターネット、農業支援などのために資金が提供された。だが、都市部でさえインフラの整備や医療などが不十分な状況のため、支援の効果は限定的だ。

 公式の数字によると、01年からの援助額は米国国際開発庁(USAID)だけで150億ドル(1兆7600億円)に上る。だが、タリバン政権崩壊から13年が経ち、アフガンに対する国際社会の関心は薄れつつあり、資金援助が今後、減少していくのは必至だ。

 こうした厳しい時代に適応するため、「ウィンドウズ・オブ・ホープ」はこれまで頼ってきた海外からの支援金ではなく、アフガンの政府や地域団体に資金援助を求めていく意向だという。

 だが、国内に30か所ある国営の児童養護施設はどこも汚職に悩まされており、援助を最も必要とする人々に資金が行き渡らないのだ。

 児童養護施設の責任者、サイード・アブドラ・ハシミ(Sayed Abdullah Hashimi)氏は、アフガンでは一部の親がコネを使い、自分の子どもを国営の施設に入れて教育を受けさせていると明かした。これにより実際の孤児が、必要とする支援を受けられないでいる。ハシミ氏によると、政府による国営施設への割り当て額は、子ども1人の1日当たりの食事に85アフガニ(約170円)だが、汚職などで実際に施設の届くのは50アフガニ(約100円)だという。(c)AFP/Emmanuel PARISSE