【1月14日 AFP】イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」は13日、ロシア情報機関によって派遣されたとされる男性2人を年若い少年が殺害する様子を収めた動画を公開した。

 この動画には、男性2人がシリア領内のイスラム国に潜入しようとしたとしてカメラの前で尋問を受けた後、少年に銃殺される様子が写っている。

 英語で「内通者摘発(Uncovering an Enemy Within)」というタイトルが付けられたこの動画にはロシア語でナレーションが入っている。ビデオはまずカザフスタン出身と自白した男性に対する尋問で始まり、男性はロシア連邦保安局(FSB)からあるイスラム国戦闘員に近付くよう指示を受けていたと明かした。

 続いてもう一人の男性が、国籍は言わなかったものの以前ロシアでFSBに勤務していたとして、あるイスラム国戦闘員の殺害を命じられていたと語った。2人はいずれも、シリア国内のイスラム国戦闘員らに関する情報を収集し報告するのが使命だったとしている。

 尋問後、撮影場所が屋外に切り替わり、あごひげを生やし戦闘服を着た大人の戦闘員の横に、拳銃を手にした少年が写る。灰色の服を着た先ほどの男性2人が地面にひざまずくと、少年が2人に向かって発砲。まず頭を狙って撃ち、2人が倒れたところへ、さらにとどめの数発を撃ち込んでいる。

 この動画の最後には、同少年が以前に、大きくなったら「不信心者」を殺したいと語っていた様子が付け足されている。これは昨年出回ったイスラム国のプロパガンダ動画からの抜粋で、子ども向けの訓練キャンプに少年が参加した際の映像とみられる。当時の動画の中で少年は「アブダラ(Abdallah)」と名乗り、カザフスタン出身だと話していた。 

 この動画について、ロシアのFSBは今のところコメントを出していない。イスラム国が、少年による「処刑」の様子を撮影した動画を公開したのはこれが初めてとみられる。ただし、子どもたちにおぞましい殺害の様子を見せたり、戦闘訓練を受けさせたりする様子を撮影した動画はこれまでにも頻繁に公開している。(c)AFP