【1月13日 AFP】フランス・パリ(Paris)で7日に起きた風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)銃撃事件以降、同国のウェブサイト数百件がイスラム主義者を名乗るハッカーたちに乗っ取られ、イスラム過激派のプロパガンダ(宣伝)に置き換えられている。

 パリ周辺で先週に計17人が殺害された一連の事件以降、フランスの自治体や学校、大学、教会、企業などのウェブサイトが、北アフリカやモーリタニアのイスラム主義者を名乗る複数のグループによってハッキング被害を受けている。

 いくつかのウェブサイトのトップページは、黒地に「アラーの他に神はなし」「フランスに死を」「シャルリーに死を」といった言葉が書かれたページと置き換えられ、署名代わりのハッシュタグ「#OpFrance」が残されている。

 仏南西部ロット(Lot)県の公式サイトでは、ユーザーがログインするとイスラム原理主義者の演説を配信しているサイトへ誘導されるようになっていた。この改変は「ファラガ・チーム(Fallaga Team)」と名乗るチュニジアのグループが、自分たちの犯行だと主張している。

 仏北部カン(Caen)にあるカン平和記念館(Caen Memorial)のウェブサイトは、アラビア語とフランス語で「神は一つしか存在せず、それはアラーだと確信する。ムハンマド(Mohammed)がアラーの預言者であると確信する」と書かれたメッセージに置き換えられた。

 ITコンサルタント企業ソルコム(Solucom)のサイバーセキュリティー専門家ジェローム・ビロワ(Gerome Billois)氏は「われわれが対峙(たいじ)しているグループは、非常に素早く生まれ、すぐに解散する集団だ。これだけ短い期間にこれだけ大きなハッキング活動があったのを見た覚えがない。数百件のサイトが被害を受けた」と語る。

 サイバーセキュリティー企業チェックポイント(Checkpoint)の欧州担当テクニカル・ディレクターを務めるティエリ・カーセンティ(Thierry Karsenti)氏は「サイバージハード(聖戦)と言えるだろう。ハッキングは氷山の一角で、イデオロギーを誇示するだけなので危険性は最も少ない」という。同氏によると、被害に遭っているサイトはセキュリティー対策が甘かったり定期的に更新されていなかったりするもので、技術的にかなり簡単に乗っ取ることができるという。

 ページを改変するこうしたハッキング手法は、対抗勢力も使っている。国際ハッカー集団アノニマス(Anonymous)がシャルリー・エブド襲撃の復讐を呼び掛けた後、イスラム過激派のプロパガンダサイトを攻撃したとの主張が複数出されている。(c)AFP