冷徹ながらもずさんな犯行、仏紙銃撃が示す新世代テロリストの姿
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【1月12日 AFP】仏パリ(Paris)で風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)本社を襲撃した兄弟は、殺しのプロフェッショナルさながらの殺りくを繰り広げつつも、逃走時には犯罪コメディー映画の登場人物さながらのミスを連発するという、奇妙ながらも懸念すべき二面性を持っていたことを、同国の治安関連専門家たちが指摘している。
7日の事件直後に現場にいた人々が撮影した動画や写真には、シャルリー・エブドを銃撃したサイド・クアシ(Said Kouachi)と弟のシェリフ・クアシ(Cherif Kouachi)の両容疑者が、訓練を受けた兵士同様に余裕ある態度でカラシニコフ銃を扱う姿が写っていた。覆面で、黒づくめの服に弾薬ポーチを装着し、同紙本社前の街路を移動する2人は、1人が進むときにはもう1人が見張りを務めるなど、歩兵隊の戦術知識があることをはっきり示していた。また負傷した警官を歩道で銃殺するときも、ペースを乱さずにとどめを刺し、熟練した戦闘員の冷徹さを見せた。
ある警察筋はAFPの取材に対し、クアシ兄弟が銃を体の脇に寄せて構え、1発ずつ発砲している点について、パニックした初心者にありがちなやみくもな撃ち方との違いを指摘し「銃の構え方や沈着冷静な移動の仕方がはっきり見てとれる。軍隊式の訓練を受けていることは間違いない。衝動的な行動ではない」と述べた。
さらに、用意周到さをうかがわせる点もある。2人はシャルリー・エブドの編集部全員が会議中だったことを知っていて、さらに、過去に殺害予告を受けていた編集長のステファヌ・シャルボニエ(Stephane Charbonnier)氏を警備していた警官を最初に殺さなければならないことを知った上で襲撃を計画したとみられる。一方で、会議があったオフィスの場所を正確に把握しておらず、人に場所を尋ねるという大きな不手際を犯した。だが、計画を壊しかねなかったこの致命的失敗にも冷静に対処し、標的に迫って行った。