仏紙襲撃事件の10代「容疑者」、心境を告白
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【1月11日 AFP】ムラド・ハミド(Mourad Hamyd)さんは自分自身のことを両親と一緒に暮らす普通の18歳だと言う。しかし、風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)本社襲撃事件にフランス中がくぎ付けになった日、「3人目の容疑者」として世界中に知られる存在となってしまった──事件発生時、教室で授業を受けていたにもかかわらず、だ。
パリ(Paris)で7日に起きたこの事件の2人の容疑者のうち一方の義理の弟であるハミドさんは、ニュースやソーシャルメディアで自分の名前が出回っていることに恐怖を感じるとともに困惑し、同日のうちに自ら警察に出向いた。そして9日夜、刑事責任を問われることなく釈放された。だが、ハミドさんの動揺は大きい。
担当弁護士のマリー・キャラガー(Marie Calleghaer)氏と数人の家族が同席する中、見るからに疲れ切った様子のハミドさんはAFPに対し、「事件に衝撃を受け、完全に途方に暮れました。でも、警察の人たちは僕に対し、とても的確な対応をしてくれました」と話した。
シェリフ・クアシ(Cherif Kouachi)容疑者(32)とサイド・クアシ(Said Kouachi)容疑者(34)の兄弟がシャルリー・エブドを襲撃し、12人を銃で殺害した事件当時、ハミドさんは学校にいたと数多くの人が証言している。
眼鏡をかけた医学部志望のハミドさんは、「僕は両親と静かに暮らしている普通の高校生なのに、僕についてソーシャルメディアで恐ろしいことや間違ったことを書き込んでいる人たちがいたことにショックを受けています」、「犠牲になった人たちに、お悔やみを申し上げます」などと語った。
現在のところ、警察も全くノーマークだったハミドさんがなぜ事件と関連付けられたのかは不明だ。しかし、ハミドさん自身が指摘し、恐れるとおり、報道やインターネット上の書き込みに登場したその名は、今後何年も不当な非難にさらされ続ける可能性がある。
ハミドさんは、「これで私の将来に傷が付かなければいいのですが。僕は事件とは何の関係もありません。シェリフ(容疑者)は義理の兄だというだけで、うちの家族とは本当に疎遠でした」と述べた。パリに住んでいた同容疑者が、フランス北部に住むハミドさん一家を訪ねることはほとんどなかったという。
一方、ハミドさんの親戚の1人はAFPに対し、7日に身柄を拘束された後、10日に釈放されたシェリフ容疑者の妻であるハミドさんの姉について、「無実だと確信している」と語った。(c)AFP/Alain JULIEN