【1月8日 AFP】(一部更新)仏パリ(Paris)で起きた風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)本社襲撃事件で、殺害された12人の中には著名な漫画家4人が含まれていたことが分かった。フランスの検察当局が明らかにした。

 4人は、「シャルブ(Charb)」のペンネームで知られていた同紙編集長でもあるステファヌ・シャルボニエ(Stephane Charbonnier)氏(47)、フランス国内では「カビュー(Cabu)」のペンネームで広く知られていたジャン・カビュ(Jean Cabut)氏(76)、ジョルジュ・ウォランスキ(Georges Wolinski)氏(80)、「ティニュー(Tignous)」のペンネームで知られるベルナール・ベラク(Bernard Verlhac)氏(57)。

 数十年にわたり、時事問題を風刺する絵で国民の想像力をかき立ててきた漫画家たちが今回の事件の犠牲者に含まれていることは、フランス国内にさらに大きな衝撃を与えている。

 4人のほかには、同紙の論説やコメンテーターとして全国放送のラジオ番組に出演していたことなどで広く知られるエコノミスト、ベルナール・マリス(Bernard Maris)氏(68)も事件に巻き込まれて死亡した。

 シャルボニエ氏は1992年にシャルリー・エブド紙に入社。2009年に同紙の編集長に就任した。政治家などの風刺画を同紙に掲載していたが、シャルボニエ氏の風刺画は他にも数多くの左派系メディアや漫画雑誌に登場した。

 シャルリー・エブド紙が2011年、イスラム教の預言者ムハンマド(Mohammed)の風刺画を掲載したことを受けて、シャルボニエ氏らには殺害を予告する脅迫状が複数送り付けられていた。そのため同氏は、警察の保護下にあった。

 またムハンマドの風刺画が原因となり、同紙本社建物には火炎瓶が投げ込まれたり、ホームページがハッカー攻撃を受けるなどの被害に遭っていた。

 一方、カビュ氏は約60年のキャリアで大統領も軍も、宗教も誰も容赦しない姿勢でその時々の社会を風刺してきた。最も根強い人気を維持しているのは、フランスの批判的な人物や人種差別的な人物、やみくもな愛国主義者を風刺した「ブーフ(Beaufs)」。

 しかし、カビュ氏の作品の中でも特に痛烈なものとして知られているのが、イスラム教の預言者ムハンマドを風刺した作品。この風刺画をきっかけに、同紙関係者やカビュ氏は絶えず、殺害脅迫を受けていた。(c)AFP