レバノン、シリア難民の入国を制限 大量流入で対応困難に
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【1月6日 AFP】レバノン政府は5日、内戦が続くシリアから逃れ入国する難民の数が膨大な数に達していることを受け、査証(ビザ)発給による入国制限を開始した。両国間でのビザ制度導入は今回が初めて。
レバノンの治安当局筋は「きょう(5日)新しい入国管理規則の適用を開始した。シリア人は入国に必要な書類の提出を開始した」と語った。ラシド・デルバス(Rashid Derbas)社会問題相はAFPに対し、新規制の目的は今後レバノン入りする難民数を制限することにあると説明している。
レバノンは110万人を超えるシリア難民の対応に苦慮している。難民の大量流入は、レバノンの限られた資源を圧迫。治安が悪化していることもあり、国民の我慢も限界に達しつつある。
レバノン政府は過去数か月間にわたり国際社会に対し、これ以上の難民対応は不可能だと警告し続けていた。デルバス社会問題相は昨年10月、人道上の理由がある場合を除き、シリア難民の受け入れを拒否せざるを得ないという見解を示していた。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)はこれまでにレバノンで110万人のシリア人を難民登録しているが、未登録のまま入国している人も多く、さらに多数が正規の検問所を通らずにレバノン入りしているとみられている。
シンクタンク「カーネギー中東センター(Carnegie Middle East Centre)」のアナリスト、リナ・ハティーブ(Lina Khatib)氏は、今回のビザによる入国制限はシリア内戦の早い段階でレバノン政府が難民対応策を講じなかったことに端を発していると指摘している。
レバノン政府は、イスラム教シーア派(Shiite)原理主義組織ヒズボラ(Hezbollah)を含むシリア政権側の支持者と、シリア反体制派の支持者とに二分されており、難民対応問題での意見統一は容易ではない。ハティーブ氏は、難民流入に憤然としている有権者らから圧力を受け、今になって行動せざるを得ない状況に追い込まれたと分析している。
今回新規則が適用されたことで、2011年3月以降20万人以上が犠牲になったシリア内戦から避難できない人が増える見込みだ。UNHCRのロン・レドモンド(Ron Redmond)報道官は、昨年レバノンが難民の入国制限を始めて以降、難民登録数がすでに減少してきていると発表している。
同報道官は政府が新たな制限措置を導入せざるを得なくなった理由は理解できるとしながらも、「難民らが命の危険にさらされる状況に押し戻される」ことのないよう、レバノン政府と連携を取っていく考えを示した。一方の米政府は、難民問題はシリアの隣国にとって「非常に大きな課題」だと認めた上で、レバノンが導入したビザ要件に「懸念」を表明している。(c)AFP/Sara Hussein and Rita Daou