近未来の「フランス・イスラム政権」、小説家ウエルベック氏新作
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【1月6日 AFP】フランス、2022年。イスラム政権の下、女性たちはベールをかぶり、パリ・ソルボンヌ大学(Paris-Sorbonne University)はパリ・ソルボンヌ・イスラム大学と改名されている──7日に発売されるフランスの「恐るべき子ども」、ミシェル・ウエルベック(Michel Houellebecq)氏(56)の新作小説が発売前から論争を巻き起こしている。
フランス現代文学界で最も知名度が高く、最も多くの言語に作品が翻訳されている小説家の1人であるウエルベック氏の6作目「Soumission(服従)」は、政治的・経済的混乱の最中にあるフランスで特に議論を呼びそうなテーマを扱っている。
ウエルベック氏の想像力によって、穏健派イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)」による架空の政党が生まれ、2022年の大統領選挙でマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)氏率いる極右政党、国民戦線(National Front、FN)を打ち破り、「モハメド・ベン・アベス(Mohammed Ben Abbes)大統領」率いるフランス史上初のイスラム政権誕生への道筋が描かれる。語り手の「フランソワ」が働くパリ・ソルボンヌ大学は「パリ・ソルボンヌ・イスラム大学」と改名され、女性たちは西洋風の衣服を脱ぎ捨てベールをかぶることを支持し、非イスラム教徒の教授たちは改宗しなければ失職する。
ウエルベック氏は01年のインタビューで「最もばかげた宗教といえば、率直に言ってイスラム教だ」と述べて物議を醸した。しかし今回は、衝撃を与えようとはしていない。
仏文芸誌「パリ・レビュー(Paris Review)」とのインタビューで「私が根本的に偽りだと考えていることを口にし、それが人々の神経にさわることを『挑発』と呼ぶならば、今回の作品は挑発とは言えない」と述べた。新作のシナリオは「あまり現実的でない」からだという。何故ならば「第一に、これが最も想像しがたいことだが、イスラム教徒同士が互いにうまくやっていくことに成功しなければならない」。架空のベン・アベス大統領のような有能な政治家が突如出現すれば、イスラム政党も実現可能だろうが「それには(今から)7年以上かかるだろう…そうした過程には数十年かかるものだ」とウエルベック氏はいう。