【1月5日 AFP】インドネシアの首都ジャカルタ(Jakarta)在住のユニタ・シャワル(Yunita Syawal)さん(25)は、弟が墜落したエアアジア(AirAsiaQZ8501便に搭乗していたかもしれないことを、知り合いから送られてきた弟の「セルフィー(自分撮り写真)」を介して初めて知った。

 弟のヘンドラ(Hendra Gunawan Syawal)さん(23)は昨年12月28日、スラバヤ(Surabaya)の空港でQZ8501便に搭乗した際、友人3人と記念撮影をしていた。ヘンドラさんたちは、シンガポールで年越しを祝う予定だった。しかし、同便は離陸の40分後、悪天候のジャワ海(Java Sea)上空で乗客乗員162人とともに消息を絶った。

 ユニタさんが最初にQZ8501便の失踪を知ったのは、ソーシャルメディアを通じてだった。間もなく、ヘンドラさんの友人が、ヘンドラさんから送られたというセルフィーを転送してきた。それでも、当時既に墜落が疑われていた同便にヘンドラさんが乗っていたとの確証は持てないままだった。だが、やがて両親に最悪の事態を告げる電話がかかってくると、「すぐにスラバヤへ向かいました」と、ユニタさんはAFPの取材に語った。

 ユニタさんは、スラバヤで物流業を営むヘンドラさんと携帯電話で頻繁に連絡を取り合っていた。ヘンドラさんはよくユニタさんに冗談じみたメールを送ってきたり、旅行計画について教えてくれたりした。「どこへ行くときも、旅行に出る前にいつも知らせてきて、お土産には何が欲しいか尋ねてくれました。前夜(27日夜)も電話で話したのだけれど、おかしなことに弟はシンガポールに行くなんて一言も口にしなかったんです」

 QZ8501便の行方が分からなくなってから6日が経過した今月3日、ヘンドラさんは収容された31人の遺体の中に身元が確認された。ユニタさんは、ひつぎの中の遺体の髪形を見てすぐ、それが弟のものだと分かったという。ヘンドラさんは同便に搭乗した前日、角刈りにしたばかりの自分の写真をユニタさんに送っていたのだ。

「胸の中にぽっかりと穴が開いてしまった」と語るユニタさん。「でも、弟の遺体を見つけられたのは良かった。他の乗客たちも早く見つかることを祈っています」と話した。(c)AFP/Arlina ARSHAD