2歳児が母親を誤射、悲しみ背負う家族 米の銃問題、再び明るみに
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【1月2日 AFP】米アイダホ(Idaho)州の大手スーパー「ウォルマート(Walmart)」で2歳の男児が銃を誤射して母親を死なせた事故は、家族を悲しみの淵に沈ませるとともに、米国の銃問題を再び明るみに出した。
核技術研究者のベロニカ・ラトリッジ(Veronica Rutledge)さん(29)は12月30日、2歳の息子とめい3人を連れヘイデン(Hayden)のウォルマートで買い物をしている際に起きた事故で死亡した。銃を収納して携行するためにデザインされたベロニカさんのハンドバッグを息子が開けたことで、誤射は起きた。
ラトリッジ夫妻は銃の愛好家で、ハンドバッグは先週、夫のコルト(Colt Rutledge)さんからクリスマスプレゼントとして贈られたものだった。ベロニカさんは他人から見えない状態で銃を携行する許可証を取得していた。
■悲しみの淵に沈む家族
ベロニカさんの義理の父、テリー・ラトリッジ(Terry Rutledge)さんは「好奇心おう盛な2歳の男の子が、ハンドバッグの中に手を入れ、内ポケットのファスナーを開け、銃を見つけて、母親の頭部を撃ってしまった。とても痛ましい事故だ」と、米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)に語った。
テリーさんによると、ベロニカさんを失った夫のコルトさんは現在、一人息子にどうやってこの出来事を伝えればよいか苦しんでいるという。「(コルトさんは)いま、2歳の息子と一緒にいる。あの子には、母親が帰ってこない理由がわからない。彼は、母親がなぜ帰ってこないのか、息子に教えなければならない」
「そして息子が成長して、(この事故に対する)疑問が高まってきたら、(コルトさんは)何が起きたのかをまた説明しなければならないだろう。だから私たちはこの出来事を何度も追体験することになる」
■銃愛好家の研究者
ベロニカ・ラトリッジさんは、さまざまな論文に共同執筆者として名前を載せる、国の核研究施設「アイダホ国立研究所(Idaho National Laboratory)」の研究者だった。ラトリッジさん夫妻は2009年に結婚。夫婦ともに銃の愛好家で、2人でよく射撃練習場に行ったり、狩猟をしたりしていた。
米国では銃器に関連して毎年3万人が死亡している。自殺が最も多いが、殺人も多い。だが一部は、銃弾の入った銃を子どもが手にすることによって起きている。
「銃暴力防止のためのブレーディーセンター(Brady Center to Prevent Gun Violence)」の調査によると、誤射で死亡した20歳未満の人数は2011年の1年間だけで140人に上り、事故の大半は家の中で起きていた。また、銃による20歳未満の負傷者は1万数千人に上った。