【1月2日 AFP】2014年のイラクでの暴力行為による死者は、市民と治安要員合わせて1万5000人余りに上り、米軍主導の多国籍軍がイラクに進攻した2003年以降最悪の水準に迫っていることが、同国政府が1日発表した統計により明らかになった。

 イラクの保健省、内務省、国防省が合同でまとめた統計によると、2014年の死者は1万5538人で、イスラム教スンニ派(Sunni)とシーア派(Shiite)の宗派間の対立がピークに達していた2007年の1万7956人に迫る数となった。2014年の死者数はまた、前年の死者数6522人の2倍以上に当たる。

 国連(UN)事務総長のイラク担当特別代表、ニコライ・ムラデノフ(Nickolay Mladenov)氏は声明を発表し、「イラクの一般市民はまたしても、暴力やテロに苦しみ続けている。2014年の死者数は、2006~2007年以降で最悪となった。これは非常に悲しい事態だ」と述べた。

 国連は、イラクで2014年に殺害された市民の数を1万2282人としている。イラクにおける暴力の監視を行っている英国の非政府組織(NGO)「イラク・ボディー・カウント(Iraq Body Count)」が発表した死者数はそれよりも多く、2003年以降3番目に多い1万7073人の市民が死亡したとされている。

 イラクのハイダル・アバディ(Haider al-Abadi)首相は新年のスピーチで、死者数増加の主な要因となったスンニ派の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」に言及し、「イラクにとってこの1年は、テロリスト集団(イスラム国)の攻撃により、ここ数年で最も困難で苦痛に満ちた年となった」と述べた。(c)AFP