【12月31日 AFP】世界最大のエボラ出血熱感染の発生源は、ギニアの辺境にある村の木のほらに住む食虫性のコウモリである可能性が30日、欧州分子生物学機構(EMBO)の科学誌「EMBO Molecular Medicine」に発表された。

 7800人を超える人々の死の元凶として疑惑の目が向けられたのは、食虫性のオヒキコウモリ。ドイツ国立ロベルト・コッホ研究所(Robert Koch InstituteRKI)のファビアン・レーンデルツ(Fabian Leendertz)氏率いる研究チームは、記録されている最初の死者の周辺環境を詳細に調査した。

 今回のエボラ出血熱の流行の中で最初の死亡例は、2013年12月に死亡したギニアのメリアンドゥ(Meliandou)村の2歳の男児だった。この男児の家から50メートル離れたところにある木のほらにオヒキコウモリが生息していた。

 研究チームは今年4月に徹底調査を行った結果、「オヒキコウモリの大きなコロニーがごく近くにあったことが(エボラウイルスの)感染機会をもたらした。子どもたちは普段、この木のコウモリを捕まえて遊んでいた」と指摘した。

 エボラウイルスは「保有宿主」と呼ばれるウイルスに侵されない野生動物の中では潜伏しているが、この保有宿主との直接接触や、発病している動物との間接接触によって人間に感染しうる。人間同士の間ではエボラウイルスの伝染力は高く、体液との接触を通じて広がる。

 エボラウイルスの保有宿主として知られているものは他にアフリカの熱帯種で、学名ワールベルクケンショウコウモリ(Epomophorus wahlbergi)というオオコウモリがいるが、今回の流行ではこの種類のコウモリの介在は確認されていないという。

 一方、近縁種のオヒキコウモリは、エボラウイルスを運ぶが発症はしないことが実験で明らかにされており、エボラウイルスがこのコウモリを「宿主」とする可能性はあったが、自然環境下でそうした証拠はこれまで見つかっていなかった。研究チームは、このオヒキコウモリが今回のエボラ出血熱の流行の根源となった可能性について、100%ではないが高いとしている。(c)AFP/ Richard INGHAM