【12月29日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)は28日、イスラエルとの紛争で孤児となった子どもたち37人のイスラエル領訪問を阻止した。企画したイスラエル側の関係者が明らかにした。

 この1週間の訪問の旅は、イスラエルのキブツ(農業共同体)の1つとアラブ系イスラエル人の自治体職員らが企画したもの。キブツ側の説明によると、今年7~8月にイスラエルがガザを攻撃した50日間の戦闘の際に両親を失った12~15歳のパレスチナの子どもたちをイスラエルに招き、「同年代のイスラエルの子どもたちについて知ってもらう」のが旅の趣旨だったという。

 一行は、ガザ地区に近い数か所のキブツを訪れた後、ヨルダン川西岸(West Bank)へ移動し、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長と会見する予定だった。

 イスラエルの治安機関シンベト(Shin Bet)からは、子どもたちと5人の引率者に対しイスラエル領への入領許可が出ていた。しかし、2007年以降ガザ地区を実効支配しているハマスは、子どもたちが「(ユダヤ人)入植地や(イスラエルに)占領されている街を訪れなければならない」旅だとして、訪問は中止されたと発表した。

 ハマス内務省は、イスラエルとの「関係正常化という政治的問題」から子どもたちを守るために訪問を禁止したと説明している。(c)AFP