【12月26日 AFP】ローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王は25日、バチカンのサンピエトロ大聖堂(Saint Peter's Basilica)で毎年恒例のクリスマスメッセージを読み上げ、イスラム過激派による暴力行為や、宗教的少数派に対する「容赦のない迫害」を強く非難した。

 高い人気を誇る法王はさらに、大聖堂の外に大勢集まった信者らに対し、「無関心と涙」の中にいる子どもたちに向けられた暴力を撲滅しなければならないと訴えた。

 法王就任後2回目のクリスマスを迎えたフランシスコ法王による「ウルビ・エト・オルビ(Urbi et Orbi)」(ローマと全世界へ)の祝福は世界中に放映された。その中で法王は、「このクリスマスには本当に多くの涙が流れている」と語り、イラクやシリア、ナイジェリアに加え、最近では多数の児童らが標的にされたパキスタンなど、戦争と暴力的な宗教的原理主義による苦難に満ちたこの1年を色濃く反映した内容となった。

 イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」を名指しこそしなかったものの、イラクとシリアのキリスト教徒は「現在も続く紛争の影響下であまりにも長く苦しんで」おり、「その他の民族・宗教集団に属する人々同様、容赦のない迫害を受けている」と指摘した。

 穏やかな語り口の法王はさらに世界の他の地域にも目を向け、ウクライナ国民に対しては「対立を乗り越え、憎悪と暴力に打ち勝ち、友愛と和解に向け新たな旅路に出る」よう促した他、「中東全域」における平和を祈願し、イスラエルとパレスチナの「対話」に向けた努力の継続を要請した。

 さらに平和はアフリカでも不可欠だとして、中でも「特に多くの血が流されている」ナイジェリアをはじめ、リビアや南スーダン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国(旧ザイール)に言及した。

 さらにリベリア、シエラレオネ、ギニアのエボラ出血熱の犠牲者にも思いを寄せ、患者らを支援している「勇敢な」人たちに謝意を表した。(c)AFP/Jean-Louis DE LA VAISSIERE