【12月24日 AFP】フランスのマニュエル・バルス(Manuel Valls)首相は23日、国内で無差別襲撃が3日連続で発生したことを受けて、全土の治安警戒レベルを引き上げた。これらの事件はいずれも無関係とみられるものの死者も1人出ており、国内に広がる不安の解消を目指す措置とみられる。

 22日までの3日間に発生した、警察に対する刃物による攻撃1件と、車で市民を襲った2つの事件の動機は不明のままだが、イスラム過激派は、対決姿勢を示しているフランスの国内で「一匹狼」型の攻撃を行うよう繰り返し呼び掛けており、国民の間で不安感が広がっている。

 バルス首相は、これら3つの事件の間に関連はなかったと強調して国民に冷静さを保つよう呼び掛けると同時に、治安警戒レベルの強化を宣言した。

 同首相はテレビで生中継された演説の中で、すでに動員されている兵士780人に加え、「さらに200~300人を今後数時間以内に配置する」と発表し、ショッピング街や市街地、駅、公共交通機関での安全パトロールも強化するとした。

 最初の襲撃は20日、仏中部ジュエレトゥール(Joue-les-Tours)で発生。男が「アッラー・アクバル(アラビア語で神は偉大なりの意)」と叫びながら警察官3人を刃物で切り付け、2人が重傷を負った。犯人は警察署に侵入しようとして射殺された。翌21日には東部ディジョン(Dijon)で、イスラムの神をたたえる同じ言葉を叫びながら男が車で通行人に突っ込み、13人が負傷した。22日夜には西部ナント(Nantes)のクリスマスマーケットにバンが突入した。運転していた男は逮捕前に刃物で自らを繰り返し刺しており、まだ取り調べが可能な状態にまで回復していない。22日の事件では当初10人負傷と報じられていたが、うち25歳の男性1人が後に死亡したと、地元検察当局者が23日明らかにした。

 これら3件の襲撃は、大きく異なっていると同時に、不気味な類似点もあり、バルス首相も「模倣犯」が生まれる可能性はあると認めている。「精神の不安定な個人が行動を起こすこともあり得る。プロパガンダ的なメッセージや映像の力をうのみにしたり、それらに感化されたりする恐れもある」と指摘した。(c)AFP/Marianne BARRIAUX