【12月24日 AFP】ウクライナ最高会議(議会)は23日、いかなる軍事同盟にも加入せず、ひいてはいかなる戦争にも加担しないことを他国に宣言する非同盟主義の立場を放棄する法案を、賛成303、反対8の圧倒的賛成多数で可決した。これで同国は、北大西洋条約機構(NATO)への加盟に近づく歴史的一歩を踏み出したことになる。

 今年2月、ロシアからの支持を得ていたビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)前大統領の失脚後に実施された選挙で大統領に選ばれたペトロ・ポロシェンコ(Petro Poroshenko)氏はこれまでにも、自国を欧米の軍事力の庇護(ひご)下に置きたい考えを示していた。

 ウクライナは2010年、ロシアからの強い圧力を受けて事実上の中立主義を掲げた。ウクライナはソ連崩壊直後にもNATO加盟を目指したことがあったが、かつて強力だった軍は壊滅状態に陥り、さらに腐敗で弱体化の一途をたどっていたため、ウクライナのNATO加盟が現実味を帯びたことはなかった。

 ウクライナ東部での親ロシア派武装勢力による分離独立運動で、過去8か月間に4700人が死亡。ロシアは先に、この紛争の終結を目指す取り決めを結ぶとすれば、ウクライナがどの軍事同盟にも加入しないことが前提条件になるという見解を示していた。

 そのため同日のウクライナ議会の動きに、ロシアは怒りを隠さなかった。セルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相はウクライナに対し、「対立を終結」させ、双方の緊張を高めるだけの「紛れもなく非生産的な」措置を取らないよう要請した。またドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)首相はより率直に、「ウクライナがNATOへの加盟を申請すれば、ロシアにとって軍事的な敵対国になり得る」と述べた。

 ウクライナのポロシェンコ大統領とロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は22日、ベラルーシの首都ミンスク(Minsk)で和平協議を行うことで合意したばかり。今回の動きは、もともと微妙な状況にあるこの首脳会談に、より直接的な悪影響をもたらす恐れがある。(c)AFP/Dmitry ZAKS