【12月24日 AFP】米映画製作大手ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(Sony Pictures Entertainment)は23日、北朝鮮の関与が疑われるサイバー攻撃を受けていったんは公開中止としていたコメディー映画『ザ・インタビュー(The Interview)』を、米の一部の映画館でクリスマスの25日に上映する方針を明らかにした。

 ソニー・ピクチャーズによる同映画の公開中止という判断については、言論の自由の侵害に屈したという批判が集まっていた。同社のマイケル・リントン(Michael Lynton)会長兼最高経営責任者(CEO)は6日前に出した公開中止の方針を撤回し、同作を上映すると発表した。

 リントンCEOは、「わが社は『ザ・インタビュー』の公開を決してあきらめなかった。クリスマスには一定数の劇場で上映されると見込んでいる」と話し、さらにもっと多くの「舞台」で公開される可能性も示唆した。

 同作が公開されるのは、小規模な劇場チェーンだけに限定されるものとみられる。米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は、当初約2500か所の映画館での公開が予定されていたのに比べずっと少ない200~300か所での上映になる見通しと伝えている。米テキサス(Texas)州オースティン(Austin)やジョージア(Georgia)州アトランタ(Atlanta)にある劇場が22日に真っ先に公開を発表した。

『ザ・インタビュー』は、米ジャーナリスト2人が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)第1書記を暗殺する使命を負うという奇想天外な娯楽映画。ソニー・ピクチャーズと同作を巻き込んだこの騒動は、同作の公開が決まったことでまた新たな局面を迎えたといえる。

 同映画の共同監督・主演・脚本を担当したコメディー俳優のセス・ローゲン(Seth Rogen)はソニー・ピクチャーズが一転して公開を決定したことを歓迎。「人々の声が伝わった!自由が勝利した!ソニーはあきらめなかった!『ザ・インタビュー』は公開に賛同する劇場でクリスマスに上映されます!」とツイッター(Twitter)に投稿した。(c)AFP