【12月23日 AFP】アフリカ南東部の島国マダガスカルにある中国資本の精糖工場で長期間続いていた労働争議が今月上旬になって暴動に発展し、少なくとも4人が死亡した。労働者たちは仕事へと戻る条件として、中国人以外の経営者が就任することを要求している。

 中国は、石油や銅といった資源に恵まれたアフリカで大きな存在感を示す一方、労働者を搾取しているとの批判も受けており、いくつかの国では緊張が生じている。

 マダガスカルの西海岸に位置するモロンダバ(Morondava)にある製糖会社スコマ(Sucoma)の工場で起きた今回の争議で、労働者側の代表を務めるレオン・クレモン(Leon Clement)さんは「中国人はいらない。中国人とは働きたくない」と話す。「彼らは政府の大臣たちの前ではわれわれの権利を拡大すると約束するが、決して実行しないんだ!」

 同工場はかつて国営だったものの、1997年に経営危機に陥り、中国人経営者によって救われた。だが、月給約37ドル(4400円)というわずかな賃金で働く同工場の2000人ほどの労働者の一人、ベルナール・ジェローム(Bernard Jerome)さんは「国に新たな経営パートナーを探すよう要請している。中国人以外の誰かをね」と話す。

 労使対立が数か月間続いていた最中の今年11月、労働者による抗議活動が暴力事件へと発展。衝突により工場の設備が損傷し、2人の中国人従業員が負傷した。

 12月に入ると労働者側のリーダー2人が逮捕されたことを受けて、警察と労働者らが衝突。2人が死亡、9人が負傷した。さらにその翌日には、工場に配置されていた警備員と兵士が刺殺された。さらに、1台のバイクに乗っていた警察官2人がトラックにひかれて死亡した。

 中国人の経営陣約20人の自宅のあった工場の住宅地区が略奪を受け、貯蔵されていた砂糖も盗まれた。経営陣は首都アンタナナリボ(Antananarivo)へ避難した。

 経営側の広報担当者は17日、「工場を復旧するためには、おそらく3年かかるだろう」と述べ、同社はマダガスカル政府に対して今回受けた損害の補償を求めていく考えを示すとともに、「落ち着いた投資環境」を政府が用意した場合にのみ、工場の再開を検討する」と話した。