【12月23日 AFP】国連(UN)安全保障理事会は22日、北朝鮮の人権問題を議題とする初の公式会合を開いた。米国はこの席で、北朝鮮国民にとって同国の人権状況は「現実の悪夢」だと非難した。

 当初は安保理常任理事国のうち北朝鮮の同盟国である中国が、北朝鮮の人権問題を議題に採用することに反対したため、理事国15か国で採決を行ったところ、11か国が賛成し協議する運びとなった。

 米国のサマンサ・パワー(Samantha Power)国連大使は、脱北者からの聞き取り調査をもとに国連の調査委員会がまとめた報告書で、北朝鮮当局の「悪夢のような」残忍さが暴かれたと述べ、飢えをしのぐために牛のふんからトウモロコシの粒を取り出して食べた収容所脱出者の話や、収容所の監視員が常習的に収容者をレイプしていたとする元警備員の証言などを紹介した。

 北朝鮮政府による人権侵害については、国連総会(UN General Assembly)が前週、この問題の国際刑事裁判所(International Criminal CourtICC)への付託を検討するよう安保理に促す画期的な決議を採択している。

 賛成多数で採択された決議の背景には、2月に公表された調査委の報告書の存在がある。報告書は北朝鮮全体で最大12万人を収容する広範な収容所のネットワークと、それらで行われている拷問や即決処刑、レイプなどが詳細に記され、そうした「現代世界では類を見ない人権侵害」が、国家の最高レベルの命令によって行われていると結論付けた。

 22日の安保理協議では、北朝鮮を「人道に対する罪」でICCに付託する決定は下されなかったが、米国、英国、オーストラリア、フランスなどは安保理が行動を起こすことを検討すべきだと主張した。(c)AFP/Carole LANDRY