【12月23日 AFP】北朝鮮で22日、インターネットへの接続が完全に不可能となったことが、サイバーセキュリティー専門家らの話により明らかになった。同国のネットワークが攻撃を受けている可能性が指摘されている。

 米国のネットワーク監視会社ディン・リサーチ(Dyn Research)のデータ分析担当副社長アール・ジミイェフスキ(Earl Zmijewski)氏はAFPの取材に対し、「北朝鮮は現在、インターネットから完全に遮断されている」と述べた。

 米連邦捜査局(FBI)は先週、米映画製作大手ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(Sony Pictures Entertainment)に対するハッキングに北朝鮮が関与したと断定。これを受け、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は、報復措置を取る意向を示していた。

 米政府は、北朝鮮に対してすでに何らかの措置を取ったのかについて、確認を拒否している。その一方で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)第1書記を風刺したコメディー映画『ザ・インタビュー(The Interview)』を鑑賞する人々に対する脅迫によって、クリスマス当日の25日に予定されていた同映画の公開が中止されたことについては、米政府は北朝鮮がソニー・ピクチャーズに対して損害賠償を支払うべきと主張している。

 ディン・リサーチによると、北朝鮮と国外を結ぶインターネット接続環境は通常時も良好とは言えない状態にあるが、先週末には特に不安定になっていたことを示す兆候がみられた。ジミイェフスキ氏はAFPに宛てた電子メールで「これは過去にみられた短時間の障害とは異なるものだ」とした上で、障害の原因特定は不可能だと強調した。

 同社のインターネット分析ディレクター、ダグ・マドリー(Doug Madory)氏は米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)に対し、「これは、北朝鮮のルーターに対する分散型サービス妨害(DDoS)攻撃と一致する」と指摘している。DDoSとは、攻撃者らが特定のネットワークへの接続を一斉に要求することによってシステムをダウンさせるサイバー攻撃の手法だ。(c)AFP/Jo Biddle