■唯一の希望を抱きながら

 インドの原子力研究の中心であるバーバ原子力研究所(Bhabha Atomic Research Center)が2012年に実施した地下水の調査では、採取したサンプルの42%から飲料水としての許容限度を超える濃度のウランが検出された。

 パンジャブ州にはウラン鉱山はない。地元選出のバグワント・マン(Bhagwant Mann)議員は、州内の重工業工場やパキスタンの皮革加工場が地下水の汚染源だと非難する。「厳格な法律を作り、工場に未処理廃水の垂れ流しをやめさせなければならない。これが唯一の解決法だと考えている」

 一方、一部の専門家たちは、インドの穀倉地帯であるパンジャブ州の農産物収穫量を1960年代に倍増させたいわゆる「緑の革命(Green Revolution)」にも一因があると指摘する。農薬の使用が急増した結果、土壌や水が汚染されたというのだ。

 責任の所在はともかく、同州のスルジット・シン・ラクラ(Surjit Singh Rakhra)水道・公衆衛生担当相は、州政府は世界銀行(the World Bank)と協力して解決策を模索するなど、懸命に対処しているとAFPの取材に説明した。

「重金属による水質汚染が確認された村々は既に特定した。遅かれ早かれ、全ての村に水処理施設を設置する」(ラクラ氏)

 この約束は、失明した息子2人を抱えたマウンさんには遅すぎた。それでもマウンさんは、障害や病気を抱えた村人の数が増える事態を政府がやがては食い止めてくれると期待している。

「息子たちは、私にとって世界そのものだ。そして、その世界は暗闇の中に沈んでしまった。だが、少なくとも次の世代の暮らしはましになるだろう。それだけが私たちの希望だ」 (c)AFP/Abhaya SRIVASTAVA