【12月20日 AFP】米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は16日、行方をくらませてフランス外国人部隊(French Foreign Legion)に入隊していた米兵が軍法会議で無許可離隊の罪により禁錮4年の判決を受けたと伝えた。

 同紙によると、ローレンス・フランクス(Lawrence Franks)陸軍少尉は軍法会議で、「自殺衝動にさいなまれており、フランス外国人部隊の困難な任務をこなすことで重度のうつから逃れようとした」と述べたという。

 15日の判決の前、フランクス少尉は同紙に対して、「私は、ぬれて凍え、空腹になることが必要だった」と語った。「私はフランス外国人部隊のようなところだけで経験できる極限の生活を必要としていた」

 フランクス少尉は2009年、米ニューヨーク(New York)州のフォート・ドラム(Fort Drum)陸軍基地から行方をくらませて仏パリ(Paris)に行き、「クリストファー・フラハティ(Christopher Flaherty)」という偽名を使い5年間の契約でフランス外国人部隊に入隊した。

 同少尉はその後、中央アフリカとジブチに派遣されたほか、西アフリカのマリにおけるアルカイダ(Al-Qaeda)系イスラム過激派に対する軍事作戦を率いていたローラン・コロジエジュ(Laurent Kolodziej)准将の護衛として5か月間勤務した。

 テレビ電話を通じて軍法会議で証言したコロジエジュ准将は、「私は彼のことは一生忘れないし、いつでも彼の味方になる」と述べた。「彼は生まれながらの兵士にして、生まれながらの紳士である。あのような男が私の部隊に10人いれば、私は最高に幸福な将官になるだろう」と証言した。

 ニューヨーク・タイムズによると、フランクス少尉は今年3月にフランス外国人部隊での5年間の契約を満了し、ドイツ国内にある米軍基地に出頭したという。

 フランクス少尉は、エリート校と名高い米ニューヨーク(New York)州ウエストポイント(West Point)の陸軍士官学校(United States Military Academy)を上位12%の成績で卒業した後、うつが悪化したという。同少尉はフォート・ドラム陸軍基地に送られ、衛生小隊に配属された。

 軍法会議でフランクス少尉は、義務を怠り、在籍していた部隊がアフガニスタンに派遣される前に故意に離隊して他の兵士たちに多大な迷惑をかけたと追及されたが、同少尉は部隊のアフガニスタン派遣は1年近く先であり、待つことができなかったと主張した。

 同少尉は、「家族に苦痛を与え、部隊に迷惑をかけたことは反省しているが、結果的に自分の命を救えたので、後悔はしていない」と述べた。(c)AFP