70年前に処刑の米黒人少年、死刑判決を破棄
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【12月19日 AFP】米サウスカロライナ(South Carolina)州地裁は17日、70年前に白人少女2人を殺害した罪で処刑された黒人少年について、死刑判決を破棄した。
ジョージ・スティニー(George Stinney)さんは、20世紀の米国で最年少となる14歳で死刑執行された。スティニーさんは体重わずか43キロで身長も低かったため、電気椅子に座らせる際には椅子に本を載せて高さを調整したと言われている。
サウスカロライナ州地裁のカルメン・テビス・ミュレン(Carmen Tevis Mullen)判事は、29ページに及ぶ判決文で、スティニーさんの裁判で「法の適正手続きにおける根本的な憲法違反」が存在したと述べ、「憲法で保障された権利の侵害を上回る不当行為を私は知らない。この事件では、証拠の量によりそれが明らかだった」とした。
■弁護をほとんどしなかった弁護人
スティニーさんは、ベティー・ジューン・ビニッカー(Betty June Binnicker)ちゃん(11)とメアリー・エマ・テムズ(Mary Emma Thames)ちゃん(7)の撲殺遺体が発見された後、逮捕された。木材工場のある隔絶された小さな町で、少女2人は自転車に乗っていて行方不明となった。
わずか1日で終わった当時の裁判の中で、法執行当局者はスティニーさんが殺害を自白したと主張した──だが裁判記録には自白を記した供述書は存在しなかった。
また、スティニーさんの弁護人を務めた白人弁護士はほとんど証人を召喚せず、反対尋問もほぼ行わず、管轄裁判所の変更も求めなかった。「弁護士はスティニーさんの弁護をほとんどあるいは全く行わなかったように思われる」とミュレン判事は述べた。
全員白人の陪審団はわずか数分でスティニーさんに有罪の評決を言い渡し、弁護士は上訴しなかった。また裁判記録には、殺害に使用されたとみられる大くぎまたは鉄の棒が証拠品として提出された記録もなかった。
事件は地元住民の怒りを買い、大きな注目を集めたことから、報復を恐れたスティニーさんの家族は町から逃げ出した。現在70代と80代になるスティニーさんのきょうだいが長年、弁護士チームの支援のもと、再審理を求める運動を続けていた。(c)AFP