【12月19日 AFP】2018年と2022年のW杯招致活動における不正疑惑の調査で、国際サッカー連盟(FIFA)に対する風当りが強まる中、ジョセフ・ゼップ・ブラッター(Joseph Sepp Blatter)会長は18日、モロッコのマラケシュ(Marrakech)で理事会の会合を開いた。

 不正疑惑の調査責任者を務めていた米国の元検事、マイケル・ガルシア(Michael Garcia)氏が自身の報告書に対する扱いを不服として辞任したことにより、FIFA会長選を来年に控えているブラッター会長は頭を悩ませている。

 欧州での報道では、19日の理事会で報告書公開の是非を問う投票が行われる可能性が伝えられているが、ここまでブラッター会長は法的問題を理由に報告書の開示を拒否している。

 ブラッター会長は、ガルシア氏が提出した報告書は2日間にわたって開催される理事会で議題の中心になるとしていたが、この日行われた理事会の詳細は明らかにされなかった。

 ガルシア氏は17日、W杯招致活動における不正疑惑の調査責任者を辞任することを発表し、「リーダーシップが欠けている」としてFIFAを批判していた。

 不正疑惑の中心となっているカタール側は、2022年のW杯招致活動について、いかなる不正も存在していないと疑惑を強く否定しているが、ガルシア氏は辞任を発表した声明の中で、W杯ロシア大会とカタール大会の投票過程において、「深刻で大きな問題」が発覚したと明言している。

 FIFA倫理委員会のハンスヨアヒム・エカート(WHans-Joachim Eckert)氏は、ガルシア氏の報告書からは再投票が必要になるほどの証拠は示されなかったと結論づけたが、ガルシア氏はエカート氏の見解を不服として調査責任者の職を辞任している。

 FIFAは16日、ガルシア氏の上訴は認められないとして異議申し立てを却下していた。

 ブラッター会長は、ガルシア氏の辞任について「驚いた」とコメントしたが、FIFAの「リーダーシップが欠けている」とまで批判された問題の今後については何も語らなかった。

 以前から今回の任期満了を持ってブラッター会長は退任すべきだと主張している欧州サッカー連盟(UEFA)のミシェル・プラティニ(Michel Platini)会長は、ガルシア氏の辞任はFIFAの「新たな失態」だとの見解を示している。

 現在78歳のブラッター会長は、2015年に行われるFIFA会長選で5期目を目指すことを表明しており、再選が濃厚とされている。

 会場で取材を行っているAFPの記者は、18日の理事会は深夜に終わり、出席した理事は誰もコメントしなかったと語っている。

 マラケシュで行われるFIFAの記者会見は、19日の午後に予定されているが、話題は2018年と2022年のW杯招致活動における不正疑惑の調査が中心になると予想される。(c)AFP