イスラム武装勢力が学校を襲撃、生徒ら141人死亡 パキスタン
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【12月16日 AFP】(17日一部更新、写真追加)パキスタン北西部ペシャワル(Peshawar)で16日、同国の軍が運営する公立学校がイスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(Tehreek-e-Taliban Pakistan、TTP)」に襲撃され、少なくとも141人が死亡した。死者のほとんどは生徒だった。
目撃者によると、午前10時30分(日本時間午後2時30分)ごろ、軍の制服を着た少なくとも5人の戦闘員が学校に侵入してきた。そして校舎が揺れるほどの大きな爆発があり、その後、武装集団が教室を渡り歩き生徒たちに発砲した。襲撃グループが着ていた制服についてペルベス・ハタック(Pervez Khattak)州首相は、準軍事組織である辺境州防衛部隊(Pakistani Frontier Corps)のものだったと語っている。襲撃は約8時間にわたって続いた。
パキスタン軍のアシム・バジワ(Asim Bajwa)大将は、襲撃が始まった時、学校には約500人の生徒がおり、この事件で生徒132人と学校職員9人が死亡し、125人が負傷したと述べた。犠牲者の数は、2007年に同国のカラチ(Karachi)でベナジル・ブット(Benazir Bhutto)元首相が狙われた爆弾攻撃の139人を上回った。バジワ大将によると襲撃犯らは弾薬と、数日分の食料を持っていたという。
バジワ大将は、襲撃犯らは講堂に入って乱射を始めたことから、人質を取る意図はなく、殺りくのみを目的としていたとみられると述べた。別の治安当局者は、一部の襲撃者はアラビア語を話していたため、襲撃者の国籍を調べているところだと述べた。
この学校にはおおむね10歳から18歳の生徒が通っていた。九死に一生を得た16歳の男子生徒は搬送先の病院でAFPに対し、「襲撃犯らが教室に押し入ってきたため生徒たちは机の下に隠れた。大きなブーツをはいた男が生徒に近づいては、銃弾を撃ち込んでいた。自分は両脚を撃たれ、声を出さないようにしてネクタイを口に詰め込んで死んだふりをした」と語った。「体が震えた。近づいてきた黒いブーツが忘れられない。死が本当に迫っていると感じた」
TTPは犯行声明を出し、今回の襲撃は周辺地域における軍による大規模な掃討作戦に対する報復で、戦闘員らは学年が上の生徒を撃つよう命じられていると発表した。2012年にTTPに銃撃され、今年のノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を受賞したマララ・ユスフザイ(Malala Yousafzai)さんは、「無意味で冷血な」殺人に「心を痛めている」と述べ、襲撃を非難した。(c)AFP/Saad Khan