ウクライナ紛争で「政府軍と親露派双方が拷問」 国連報告書
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【12月16日 AFP】ウクライナ東部で続く政府軍と親ロシア派武装勢力による紛争について、国連(UN)は15日、双方が市民らを拷問し、無差別に攻撃していると非難する内容の報告書を公表した。
国連は過去8か月に及ぶ紛争で、少なくとも4634人が死亡、1万234人が負傷したとしている。ただし今回まとめられた統計では、「実際の死傷者数はもっとずっと多い可能性が高い」ことが示唆されている。
同報告書は、壊滅的な被害を受けている同域に暮らす520万人の生活は冬に入って一段と悪化していると指摘。現地のインフラは完全な機能不全に陥り、多くの世帯が水道も暖房も使えない状態になっているという。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、「住民らにとって、特に高齢者や子どもたち、福祉施設などで支援を受けている人々には、極めて厳しい状況になっている」と訴えている。
27ページにまとめられたこの報告書は、人道的危機を招いたのは親欧米派の政権側と、今年4月に蜂起したロシア系の武装勢力のどちらか一方ではなく双方だと非難した。
「紛争地帯における領土の一体性を守り法と秩序を回復するための政府の努力の一環という形で、『分離独立やテロリズムの思想』を持つと疑われる者に対する法規に基づかない身柄拘束や拷問、強制失踪がみられる」としている。
また親露派側については、工業地帯のルガンスク(Lugansk)とドネツク(Donetsk)の一部で「法と秩序が崩壊するにつれ、殺りくや拷問、身代金を目的とした誘拐や強制労働といった人権侵害」も増えており、それらの行為を始めたのは増加している外国人戦闘員らの支援を受けている武装集団だと断じている。報告書は「外国人戦闘員」にはロシア軍も含まれるとしているが、ロシア政府はそれを否定している。(c)AFP/Dmitry ZAKS