【12月16日 AFP】(写真追加)オーストラリア・シドニー(Sydney)のカフェで客らを人質に取って立てこもった末に警察に射殺されたイラン出身の男について、トニー・アボット(Tony Abbott)豪首相は16日、過激思想に傾倒し、精神的に不安定な状態だったことを明らかにした。

 アボット首相は「男は暴力的な犯罪歴を多く持ち、過激思想に傾倒し、精神的に不安定だった」と発表。イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」の別称である「ISIL」を使い、「男は立てこもり中、自らの行為を死のカルトであるISILを象徴するもので隠そうとしていた」と語った。

 射殺された男は、メディア各社によってマン・ハロン・モニス(Man Haron Monis)容疑者(50)と伝えられた。15日にシドニー中心部のリンツ(Lindt)カフェで17人を人質に取り立てこもった末に、翌16日未明に突入した警官隊によって射殺された。人質2人も死亡した。

 アボット首相によると、容疑者は豪当局が良く知る人物だった。「男はアフガニスタンで死亡した豪軍兵士の遺族に無礼な手紙を送ったことがあり、これに関連した罪で有罪となった」「ネット上に過激思想関連のデータを投稿していた」という。また同首相は今回の事件を「テロリズムとの小競り合い」と表現し、警察の対応をたたえた。(c)AFP