【12月15日 AFP】拷問は、英ロンドン(London)のヒースロー(Heathrow)空港を標的とした「第2の9・11テロ」の防止につながったのだろうか。米中央情報局(CIA)は何年にもわたり、その答えはイエスだと主張してきたが、先週公表された米上院の報告書は、CIAの主張に真っ向から対立し、拷問はテロ対策に効果的ではないと断言した。

 この「強化尋問手法」で得られた情報が、攻撃の阻止や国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の戦闘員の拘束につながったかについては、意見が二分されている。

 報告書は、アルカイダの最高指導者だったウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者の潜伏場所の発見や米国に対するテロ計画などに関連する詳細を徹底的に分析し、拷問によって有益な情報が得られたというCIAの主張を切り捨てようとしている。

 CIAの支持者やジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前政権下の高官数人は、拷問によって多くの命が救われたと主張している。

 CIAがよく引き合いに出す「成功例」の一つが、ロンドンのヒースロー空港とカナリー・ワーフ(Canary Wharf)に対する9・11さながらのテロ攻撃を未然に防いだというものだ。このテロ計画は、米同時多発テロ事件の首謀者ハリド・シェイク・モハメド(Khalid Sheikh Mohammed)被告が画策したものとされる。

 だが上院の報告書はこの説を否定し、CIAは真実をゆがめていると指摘している。CIAの通信記録やその他の文書を精査した結果、CIAによる拷問が脅威の特定に一つも役立っていなかったことが判明したと、同報告書は結論付けた。

 CIAは、水責めを受けたとされるアブ・ズベイダ(Abu Zubaydah)容疑者への尋問で得られた情報のおかげで、ヒースロー空港テロ計画の首謀者の一人、ラムジ・ビナルシブ(Ramzi Binalshibh)被告を拘束できたと主張している。

 しかし同報告書によれば、CIAはこれより前にビナアルシブ被告の存在を把握しており、その身柄拘束もパキスタン軍が別の人物を捜索していた際に偶然起きたことだった。さらに、CIAはすでにヒースロー空港がアルカイダの標的になっていることを認識しており、パイロットが見つからないために計画を実行できず、「攻撃が切迫していない」ことも知っていたという。