【12月15日 AFP】ディック・チェイニー(Dick Cheney)前米副大統領は14日、米中央情報局(CIA)が国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)のメンバーとされる容疑者らに行っていた過酷な尋問を擁護し、こうした尋問手法をとったCIA職員たちを英雄として称えた。

 ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前大統領の右腕だったチェイニー氏は、出演した米NBCテレビの報道番組「ミート・ザ・プレス(Meet the Press)」で、拷問を行っていたとされるCIA職員たちについて「彼らは称賛に値するし、勲章を授章してしかるべきだ」と擁護した。当時行われていた厳しい尋問はオバマ政権下では禁止措置をとっているが、チェイニー氏は「私なら、すぐにでも同じことをする」と付け加えた。

 チェイニー氏の発言は、米上院情報特別委員会(Senate Intelligence Committee)が先週公表した報告書を受けたもの。報告書は、キューバのグアンタナモ湾(Guantanamo Bay)にある米軍基地施設や、米軍が世界各地で運用していた「秘密収容所」における拘束状況や尋問手法に関するもので、長らく公表が待ち望まれていた

 チェイニー氏は、CIAの尋問手法は2001年9月11日の同時多発テロで死亡した3000人の米国市民の犠牲とは「比較にならない」と述べ、CIAは拷問を「非常に慎重に避けていた」と語った。「拷問とは、9・11でアルカイダが3000人の米市民に対して行ったことだ」「これは、強化尋問としてわれわれが行った行為とは比べものにもならない」

 さらにチェイニー氏は、収容所で何年も身柄を拘束され、一部は拷問も受けていた外国人のうち、多くが後にテロリストではなかったことが分かったことについても、自身は動じないと語った。「目的を達成するためであれば問題だとは思わない。われわれの目的は9・11の犯人らを捕まえ、米国が再び攻撃の対象となることを防止することだった」と述べた。

 報告書で指摘されたCIAの尋問手法の中でも特に嫌悪感をもって受け止められているのは「直腸補水」で、腸内に水を満たすことで苦痛を生じさせる中世の拷問手法を応用したものだとの批判も一部から上がっていた。

 だがこれについてチェイニー氏は、尋問プログラムに含まれていたことは知らなかったと述べた上で、「これは医療上の目的があったのだろう」と語った。米情報当局は、この手法は収容者の栄養補給を目的としたものだったと主張している。(c)AFP/Stephanie GRIFFITH