映画の小道具になっていた名画、約3400万円で落札 ハンガリー
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【12月14日 AFP】ある美術史家が6年前のクリスマスイブの夜、娘と一緒にテレビで見ていたハリウッド(Hollywood)映画『スチュアート・リトル(Stuart Little)』(1999年)の中で小道具として使われているのに気付くまで、約90年にわたって行方不明になっていたハンガリーの前衛画家の作品が13日、同国の首都ブダペスト(Budapest)で競売にかけられ、最低落札価格の倍以上にあたる22万9500ユーロ(約3391万円)で落札された。
ローベルト・ベレーニュ(Robert Bereny、1888~1953)の「黒いつぼと眠る女性(Sleeping Lady with Black Vase)」の最低競売価格は、11万ユーロ(約1625万円)とされていた。競売会社ビラグ・ユディト(Virag Judit)の職員はAFPに対し、購入者はハンガリーの収集家だが、氏名は公表していないと説明している。
行方不明が分からなくなっていたこの作品を偶然に発見したハンガリー国立美術館の美術史家ゲルゲイ・バルキ(Gergely Barki)氏(43)は、「ずっと傑作だと思っていたんだ。市場も僕の考えに同意してくれたということだね」とコメントした。
バルキ氏は映画を観る前はこの絵をハンガリー国立美術館で1928年に開催された展覧会で撮影された古い白黒写真でしか見たことがなかった。同氏によれば、1920年代後半にこの作品を購入したのは恐らくユダヤ人で、第2次世界大戦(World War II)の開戦前か戦争中に作品を残してハンガリーを出国したとみられるという。作品の所在はその後、不明となっていた。(c)AFP/Peter MURPHY