【12月13日 AFP】カナダ政府が老朽化した戦闘機の後継として導入を検討しているF35戦闘機は、他の戦闘機3機種と比較して特に傑出した利点がないとされていたことが、秘密指定が解除されて10日に公表された政府委託の報告書で明らかになった。

 報告書は、米ロッキード・マーチン(Lockheed Martin)のF35統合打撃戦闘機(Joint Strike FighterJSF)ライトニングⅡ(Lightning II)、ユーロファイター・タイフーン(Eurofighter Typhoon)、仏ダッソー(Dassault)のラファール(Rafale)、米ボーイング(Boeing)のスーパーホーネット(Super Hornet)のどの戦闘機でも、カナダ軍が想定している任務の大半を遂行できると分析。唯一の例外はカナダが他国と戦争をする場合だが、「カナダが他国の軍事侵略の対象となる可能性はまずない」として、「極めて例外的なシナリオだ」と結論付けた。

 カナダの戦闘機はこれまで、北米航空宇宙防衛司令部(North American Aerospace Defense CommandNORAD)の一部として、主にカナダと米国の空域を防衛する任務を遂行してきた。

 報告書は、カナダの戦闘機は次の30年間で、外国政府と協力して実施する空爆やリビアやイラクといった外国上空の飛行禁止空域の警戒監視、ハイジャック機の阻止、人道支援物投下任務の護衛などに参加すると予測。またカナダ本国の防空任務は「脅威の水準が比較的低く、戦闘機にとってそれほど困難ではない」として、検討されている4機種のどれでも十分に任務遂行が可能だと分析した。

 しかし、戦時には4機種のうち1機種が、特に将来の対空防衛に対抗する能力で傑出していると指摘した。報告書は最も優秀、あるいは最も劣っている具体的な機種名は明らかにしていない。

■CF18戦闘機の改修命じる

 F35戦闘機の推進派は、先進的な軍隊に対抗することができるのは、ステルス戦闘機であるF35戦闘機だけだと主張している。

 カナダは米国をはじめとする各国と15年間にわたってF35の開発に協力してきたが、同国史上最大の予算をかけた今回の戦闘機選定に当たり、増加の一途をたどる費用と、選定過程に透明性と競争が欠けているとの批判を受け、F35以外の機種も検討することを2012年に決定した。 しかしカナダ政府と同国軍は、現在もF35の導入に傾いている様子がうかがえる。カナダは来年総選挙を控えており、それより前に最終的な機種が決定されることはないとみられている。

 カナダが現在所有するCF18戦闘機は2020年に退役する予定だったが、2025年まで継続して運用するためカナダ政府は同型機の改修を命じた。(c)AFP