【12月12日 AFP】米映画製作大手ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(Sony Pictures Entertainment)は11日、サイバー攻撃によって流出した一連の社内メールの中に、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領について人種的な配慮を欠いたやりとりがあったことについて謝罪した。

 流出したあからさまな発言の中には、ハリウッド女優アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)さんを「最低限の才能を持ち合わせた甘ったれ」と映画プロデューサーが決め付けているのもある。

 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントはサイバー攻撃を受けており、一部では近く公開予定の北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)第1書記の暗殺計画を描いたコメディー映画『The Interview (ザ・インタビュー)』に怒った北朝鮮の報復の可能性もあるとみられている。

 明るみに出たEメールでは、同社の共同会長エイミー・パスカル(Amy Pascal)氏が、映画プロデューサーのスコット・ルーディン(Scott Rudin)氏に対し、「くだらない」資金集め朝食会で、オバマ大統領に何を依頼しようかと相談している。

「映画に資金を出してくれるかな」と冗談を言うルーディン氏に、パスカル氏は「それはどうかな。『DJANGO』が好きかどうか、聞いてみましょうか」と返信。黒人奴隷制を扱ったクエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)監督の映画『ジャンゴ 繋がれざる者(Django Unchained)』を引き合いに出した。

 ルーディン氏はそれに対し、「12 Years でしょう」と応答、19世紀の米国で奴隷として売られた自由黒人を描いた映画『それでも夜は明ける(12 Years a Slave)』を意味した。

 パスカル氏は「あるいは『the Butler(執事)』」と切り返した。リー・ダニエルズ(Lee Daniels)監督の映画『大統領の執事の涙(Lee Daniels' The Butler)』は、ホワイトハウス(White House)で歴代大統領に仕えた黒人の執事を描いている。

 パスカル氏は11日、自身の発言を謝罪し、「私のEメールの内容は無神経かつ不適切だったが、私自身を正確に反映したものではない」と述べた。

 さらに、「これは盗まれた私信ですが、私は自分が書いたことに全責任を負うものであり、傷ついたすべての人に謝罪します」とエンターテインメント・ニュースサイト「バラエティ(Variety)」が引用した声明で述べている。

 一方、別のやりとりの中でジョリーさんを痛烈に批判しているルーディン氏は、コメントの要請に応えていない。ジョリーさんが主役のクレオパトラ(Cleopatra)を演じる予定の企画中の映画に関わっているルーディン氏は「自分が映画を監督できるように、これ(企画中の映画)を18か月もそっちのけにした、最低限の才能を持ち合わせた甘ったれのせいで、私は自分のキャリアを台無しにするつもりはない」と語っている。(c)AFP/Michael THURSTON