【12月11日 AFP】世界の海は26万9000トン近くの大量のプラスチックごみであふれているとする、全世界の海洋状況を6年間にわたり調査した結果に基づく研究論文が、10日の米オンライン科学誌「プロスワン(PLOS ONE)」に掲載された。

 プラスチックによる海洋汚染の調査・啓蒙活動を行う米NPO「ファイブ・ジャイルズ・インスティチュート(Five Gyres Institute)」などの研究チームによる調査結果は、沿岸付近を常に漂っている比較的大きなプラスチックごみが、海岸から遠く離れた沖で波に洗われて微粒子状になることを示している。

 論文の主執筆者で、同NPOの研究部門を率いるマーカス・エリクセン(Marcus Eriksen)氏は、こうしてできる「マイクロプラスチック」は次に食物連鎖に侵入すると指摘する。

「5つの亜熱帯環流のただ中にあるごみの微小片は、世界の海を漂うプラスチックごみの『永眠の地』ではないことを、今回の結果は示している」とエリクセン氏は語る。「マイクロプラスチックの最終段階は、海洋生態系全体との相互作用だ」

 6か国の研究者らからなる国際研究チームは、世界のプラスチックごみに関する従来の推定結果の改善を目指し、2007年~2013年の期間にオーストラリア沿岸、ベンガル湾(Bay of Bengal)、地中海(Mediterranean Sea)など世界各地で計24回の現地調査を実施。データを蓄積した。

 マイクロプラスチックは網で収集され、サイズの大きな沿岸ごみは目視での調査が行われた。

 この調査データを基に推計モデルを作成したところ、海洋全体に含まれるプラスチック微粒子は合計5兆2500億個以上に上り、総重量は26万9000トン近くに達する可能性があるとの推定結果が得られた。

 エリクセン氏は、あらゆる場所でマイクロプラスチックを発見し、驚いたという。このことは、サイズの大きなプラスチック製品が環流によって実際に細かく砕かれ、海洋全体に拡散しやすい微粒子になっていることを示唆している。環流は大規模な渦状の循環する海流で、内部にごみが蓄積されている可能性がある。(c)AFP