米CIAの拷問、同盟国含む各国が非難 裁判求める声も
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【12月11日 AFP】米中央情報局(CIA)が「テロとの戦い」の一環として国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の容疑者らに行っていた過酷な尋問の実態が、米上院の報告書によって明らかになったことを受け、米国に対しては10日、同盟国を含む世界各国からの非難と、関与したCIA職員や政府高官らを裁判にかけるよう求める声が集まっている。
ドイツのフランクワルター・シュタインマイヤー(Frank-Walter Steinmeier)外相は、「われわれの自由と民主主義の価値観に対するこのような重大な侵害行為は二度と起きてはならない」と表明。米国と同盟関係にある欧州諸国の当惑を代弁した。欧州委員会(European Commission)のキャサリン・レイ(Catherine Ray)報道官は、報告書の透明性を歓迎する一方、「米当局による人権侵害について、重大な疑問が投げかけられている」と語った。
米政府が人権侵害を非難してきた中国とイランも、CIAの「人権侵害」を非難した。中国外務省の洪磊(Hong Lei)報道官は、「中国は拷問には一貫して反対してきた」と述べ、「米国は自らの行いを反省し、やり方を正し、国際条約の規約を真摯に順守するべきだ」と語った。イランの最高指導者アリ・ハメネイ(Ali Khamenei)師はツイッター(Twitter)で、米国は単にCIAの拷問プログラムのみならず、国内の法執行においても「人道に対する暴虐さの象徴」だと宣言した。
アフガニスタンから米軍戦闘部隊の引き揚げを円滑に終了させるために米国側が協力を希望しているアシュラフ・ガニ(Ashraf Ghani)大統領も、「アフガニスタン政府は最も強い言葉でこの非人道的な行動を非難する」「今日の世界にはこうした行動と非人道的拷問の正当化はありえない」と記者会見で述べた。
CIAの秘密収容所設置を受け入れていたポーランドのアレクサンデル・クワシニエフスキ(Aleksander Kwasniewski)前大統領は、地元メディアに対し、2003年に「(ジョージ・W・)ブッシュ(George W. Bush)大統領にこの協力関係を終わらせなければならないと申し入れ、実際にそれは終わった」と明らかにした上で、拷問を禁止している国際法を破った者は起訴されるべきだと語った。
国連(UN)は、CIAのプログラムは国際法違反および基本的人権の侵害であると非難。英国を拠点とする人権団体CAGEは、関係者の刑事責任を問うよう求めている。
ただ、関係者が訴追される可能性は低い。ある米高官は、記者らに対し、米上院情報特別委員会(Senate Intelligence Committee)が公表した報告書には、関係者の刑事責任を問わないとした決断を変える内容は含まれていないと語った。また、ジョシュ・アーネスト(Josh Earnest)大統領報道官は米CNNテレビに対し、連邦検察当局がこの問題について調査を行ったものの、起訴を見送る方針を固めたことを明らかにした。(c)AFP/ Dave Clark