【12月10日 AFP】タイの軍政が制作を委託した公式プロパガンダ動画に、ナチス・ドイツ(Nazi)の独裁者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)の肖像が使われていたことがわかり、怒りや困惑の声が上がっている。

 問題の動画は、タイの若者に教える「12項目の価値」の宣伝のためにタイ軍政が制作を委託した一連の短編動画の一つで、勝ち負けは人生の一部であることを2人の男子生徒が学ぶという取り立てて害のない内容のもの。だがオープニングのシーンで、教室にいる少年が、かぎ十字を背景に立つヒトラーの肖像画を描いている様子が映し出されていた。

 ヒトラーやかぎ十字などナチスを象徴する図像の使用はタイでは珍しくなく、Tシャツや記念品などに使われることがあり、政治的な傾倒というよりは歴史認識の欠如としてしばしば非難されている。

 昨年、タイのチュラロンコン大学(Chulalongkorn University)の学生が卒業式でヒトラーの壁画を制作し、大学が謝罪を強いられる出来事があった。また2011年には、スポーツの日のパレードでカトリック系の学校の生徒がナチスの制服の仮装をし、学校が体面を失う出来事もあった。

 今回の短編動画に対してはソーシャルメディアで困惑や批判の声が上がっている。(c)AFP