母親の子癇前症、子どもの自閉症リスクと「顕著に」関連 米研究
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【12月10日 AFP】妊娠中に子癇前症(しかんぜんしょう)と呼ばれる高血圧症を発症していた女性から生まれた子どもは、自閉症や他の発育遅延を起こすリスクが2倍になるとの研究論文が8日、米国医師会(AMA)が発行する医学誌「JAMA小児科学(JAMA Pediatrics)」に掲載された。同研究では、子癇前症の症状が重度であるほど、自閉症リスクが高まることも分かったという。
米カリフォルニア大学デービス校(University of California, Davis)などの研究チームが行った今回の研究には、妊娠中に子癇前症と診断された母親を持つ、米カリフォルニア(California)州北部の2~3歳の子ども1000人以上が参加した。研究チームは、正常発育の子どものデータと、自閉症スペクトラム障害(ASD)や他の発育遅延の子どものデータを比較した。
論文の主執筆者、同大産科・婦人科学部のシェリル・ウォーカー(Cheryl Walker)助教は「子癇前症とASDとの間に、重篤度とともに増大する顕著な関連性があることを発見した」と述べ、「また、重度の子癇前症と発育遅延との間の顕著な関連性も観察された」と続けた。
米国では、子ども88人に1人の割合でASDの発症が確認されている。この発達障害の明確な原因は明らかになっていないが、研究では遺伝子や環境、または両方の要因が指摘されている。自閉症は、社会的、感情的、対人関係的な各スキルに困難が生じる原因になる。既知の治療法は存在しない。
過去の一部研究には、子癇前症によって胎児から栄養素と酸素が奪われることが、自閉症との関連を生じさせていると示唆するものもあった。子癇前症は、妊娠後期の高血圧症、尿タンパク濃度の上昇、重症の場合はけいれん発作などを引き起こすとされている。
ウォーカー助教は「一つの研究結果だけでは因果関係を確証するのは不可能だが、子癇前症を減らして重篤度を軽減させ、新生児にもたらされる結果を改善する取り組みは、さらに証拠を重ねることで支えられる」と指摘した。(c)AFP