【12月9日 AFP】2022年サッカーW杯(2022 World Cup)の招致活動で不正疑惑が生じているカタールの招致委員会で、広報担当を務めていたファドラ・アル・マジード(Phaedra Almajid)さんは、複数のアフリカサッカー連盟(CAF)幹部に対し、多額の金銭の受け渡しが行われたと主張している。

 アル・マジードさんは、2018年ロシア大会(2018 World Cup)と2022年カタール大会の招致活動をめぐる不正疑惑について、元米国検事マイケル・ガルシア(Michael Garcia)氏の主導で行われている調査に協力し、匿名を条件に証拠を提示した。そして、国際サッカー連盟(FIFA)倫理委員会の責任者を務めるハンスヨアヒム・エカート(Hans-Joachim Eckert)氏が公表した調査報告書が議論を呼ぶ中、アル・マジードさんは、仏サッカー専門誌「フランス・フットボール(France Football)」に対して、賄賂の申し出がなされた時に居合わせたと告白した。

 しかしながら、金銭受け渡しの現場については目撃しなかったとしている。

 アル・マジードさんによれば、アフリカ大陸最大のサッカーイベントである2015アフリカネイションズカップ(2015 The Africa Cup of Nations)に向けてCAFの総会が開かれている最中の2010年1月、アンゴラの首都ルアンダ(Luanda)のホテルで、ある会合が行われたという。

 アル・マジードさんは当時のことを振り返り、部屋にいた誰かが「アフリカサッカー連盟の高官が同席したことに、彼ら(カタール側)は非常に歓喜しており、100万ドル(約1億2000万円)の援助を申し出た」と言っていたことを明かした。

 2010年に職を失ったアル・マジードさんは、「この男性(CAFの理事)は、カタール側の方を見ずに、『ああ、100万ドルですか。150万ドルにしてください』と答えていました」と語った。

「するとカタール側は、そちらの支援をあてにしてると言っていました。その人物も、そういうことなら分かりましたと確約し、その場は終わりました」

 アル・マジードさんは、他に2人のCAF幹部と同様のやりとりがあったと話したが、具体的な人物は特定できなかったとしている。

 先月、身の危険を感じながら今後の人生を生きていかなければならないと告白したアル・マジードさんは、子供たちとともに脅迫の被害に遭い、現在は米連邦捜査局(FBI)の保護下に置かれているという。

 アル・マジードさんは、2018年大会と2022年大会の両方について再投票の必要性を排除したエカート氏が、ガルシア氏の報告書をまとめた際に、自身を特定できるようにしたと非難している。

 フランス・フットボール誌に対し「エカート氏とFIFAは、私の信頼を裏切った」と述べたアル・マジードさんは、「(エカート氏は)報告書で名前を明かし、私をライオンの群れに放り込んだ」と怒りをあらわにした。(c)AFP