【12月8日 AFP】南米アマゾン(Amazon)の熱帯雨林の破壊状況を訴えるために、大蛇アナコンダにのみ込まれてみせると宣言していた米ナチュラリストのポール・ロソリー(Paul Rosolie)氏は、7日に放映された米ディスカバリーチャンネル(Discovery Channel)の番組内で大蛇と対決したが、実際にのみ込まれることはなく、世界の視聴者をがっかりさせた。

 ロソリーさんは結局、アナコンダに体を巻かれた段階で、重傷を負うことを恐れて挑戦を中止した。

 世界で最も大きなヘビといわれるアナコンダは通常、獲物を窒息させてからのみ込むため、ロソリーさんの試みはいっそう危険をはらんでいた。そのため今回、専門家らはロソリーさんが窒息させられないよう、呼吸装置を付けたカーボンファイバー製の特注スーツを製作。外部との通信システムとカメラも搭載した。

 相手となるアナコンダは全長6メートルの雌で、ペルー領内のアマゾンのジャングルで60日間にわたり野営と移動を繰り返しながら探し回ってみつけたという。

 番組内では、スーツを着用したロソリーさんの体に巻きつき始めたアナコンダが、ロソリーさんのヘルメットの上であごを大きく広げる場面があり、このときアナコンダがきつく締め付けてきたので、腕が折れるかと思ったとロソリーさんは語った。「ヘルメットを通してアナコンダのあごを感じた。喉を鳴らすような音や荒い息遣いが聞こえた」という。

 監視していた番組チームは、ロソリーさんの呼吸が乱れ、心拍数が下がったため心配しながら見守っていたが、ロソリーさん本人がアナコンダの強力な締め付けによるめまいを訴え、助けを求めた。ロソリーさんもアナコンダも無傷だった。

 しかし実際にロソリーさんがヘビにのみ込まれることはなかったことから「Eaten Alive」(生きたまま大蛇に食われる)というタイトルの番組に対し、視聴者らは放映直後からソーシャルメディアで批判を始めた。

 またロソリーさんは放映前から、ヘビを傷つけないようチーム全体で細心の注意を払っていると強調していたが、動物保護団体らからは「視聴率稼ぎのためにアナコンダは苦痛を与えられ苦しめられた」と強く非難されている。

 一方、ロソリーさんは、自分が宣言したように生きたまま食べられることはなかったが、アマゾン保護への関心を高めるには番組の衝撃値は重要だと述べている。この番組に合わせ、アナコンダの生息調査を含めたアマゾン保護のための啓蒙と募金活動を行う基金が立ち上げられている。

 米国で放送された番組は、10日にはフィンランド、デンマーク、ハンガリー、ポーランド、スウェーデンで、さらに12日にはオーストラリアで放映された後、中国やインドでも放映される予定だ。(c)AFP/Brigitte DUSSEAU