【12月8日 AFP】テロ容疑で米当局に拘束され、キューバのグアンタナモ(Guantanamo)米海軍基地の施設で10年以上収容されていたシリア人ら6人が6日、再定住のため南米ウルグアイに移送された。米国防総省が7日、明らかにした。

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は、グアンタナモの収容所閉鎖を公約に掲げているが、その実現は大幅に遅れている。今回の収容者移送は、ウルグアイのホセ・ムヒカ(Jose Mujica)大統領がオバマ氏の公約実現を助けるための「人道的」措置とされる。

 米国防総省によると、現在もグアンタナモに収容されているのは136人で、うち67人はオバマ大統領とジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前大統領の両政権が釈放を承認している。

 今回移送された収容者の1人であるシリア人のジハード・ディヤブ(Jihad Diyab)氏(43)は、ハンガーストライキを行い、米国の裁判所に対し、収容所が行っている強制摂食の停止命令を求めていた。

 国防総省の報道官がAFPの取材に語ったところによると、同氏を含むシリア人4人、パレスチナ人とチュニジア人各1人の計6人が、米当局から「移送の承認」を受け、6日午前11時に米空軍機でグアンタナモを出発した。6人はいずれも30代または40代の男性で、米同時多発テロ後のブッシュ政権下における「テロとの戦い」で収容所が設置された2002年に収容された人々だった。

 グアンタナモの収容所閉鎖を担当するクリフ・スローン(Cliff Sloan)特使は、AFPの取材に対し、「この重要な人道的行動を取ったウルグアイと(紛争あるいは拷問の恐れから)自国に帰国できない人々に帰る家を提供する取り組みにおいて強い指導力を発揮したムヒカ大統領に対し、われわれは非常に感謝している」と述べた。

 ムヒカ大統領は今年3月、ウルグアイによる収容者6人の受け入れを発表し、収容者には、他の住民と全く同じ自由を与えると宣言していた。左翼ゲリラの元メンバーで、マリフアナを合法化したことや、給料のほとんどを慈善事業に寄付し、自分は農場のみすぼらしい家に住んでいることで知られる同大統領は以前より、政治犯として13年間獄中生活を送った経験から、今回移送されたグアンタナモの収容者たちへの同情を感じていると語っていた。(c)AFP/Chantal VALERY