先進諸国の賃金横ばい、国際労働機関が警告
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【12月5日 AFP】先進諸国で賃金が上昇せず、さらに一部先進国では賃金が低下さえしており、金融危機以後の経済成長を抑制しデフレの危険性を高めていると、国際労働機関(International Labour Organization、ILO)が5日、警告した。
またILOは、結果として生じている格差に対する税や福祉での対策が不十分だと述べ、各国政府に対し最低賃金の導入または引き上げと、団体交渉の強化などの措置を取るべきだと提言した。
ILOが2年に1度発行している「世界賃金報告(Global Wage Report)」によると、金融危機以前に約1.0%上昇していた先進国の実質賃金平均は、2012年にわずか0.1%の上昇で、13年も0.2%しか上昇しなかった。またギリシャ、アイルランド、イタリア、日本、スペイン、英国では、2013年の実質賃金は07年レベル以下まで低下した。
対照的にアジアでは賃金が上昇。その結果、世界の賃金平均は12年に2.2%上昇、13年に2.0%上昇した。金融危機以前の3.0%からは低下した。
ユーロ加盟国に対する国際的な救済措置では、賃金カットが主要な要素となった。また欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ(Mario Draghi)総裁は先週、ユーロの成長強化のために賃金カットを呼び掛けていた。しかしながら、ユーロ圏の物価上昇率が極めて低いことが、長期的な低成長をもたらす恐れがあると懸念する声も出ている。(c)AFP/Alice RITCHIE