【12月6日 AFP】デンマーク玩具大手レゴグループ(Lego Group)のヨアン・ビー・クヌッドストープ(Joergen Vig Knudstorp)最高経営責任者(CEO)はAFPとのインタビューで、世界中の子どもたちは何世代にもわたってカラフルなブロック玩具のレゴを楽しんで育ってきたが、携帯端末やビデオゲームが人気の現代においても、それは変わらないと語った。

 クヌッドストープCEOは、デジタル時代はレゴの人気を脅かすどころか、顧客基盤を一段と確立するチャンスを与えてくれたと話す。「レゴは最も人気の高いビデオゲームの一つになっているし、ソーシャル・メディアでもますます多くの顧客をつかんでいる。レゴファンはかつてなかったくらい増えている」という。

「人気の理由は、多くの子どもたちだけではなく大人たちもが、実際の身体的体験を求めているからだ。サッカーを見たり、プレイステーション(PlayStation)でサッカーゲームをしたりするのが好きでも、実際のフィールドをボールを蹴りながら走ることは違うのと一緒だ」

 デンマークのビルン(Billund)に本社があるレゴは11月28日、英ロンドン(London)に世界で5番目の主要拠点を開設し、事業の世界的成長を目指している。重要市場の一つに挙げられるのはアジア。中国・上海(Shanghai)とシンガポールに設置した主要拠点に加え、中国浙江(Zhejiang)省の嘉興(Jiaxing)市で今年、アジア向け製品の生産工場建設に着手した。

 今でこそ世界的な存在感を放つレゴだが、創業当初は今とはだいぶ違った。同社は1932年、ビルンの小さな作業場からスタートした。創業者オーレ・キアク・クリスチャンセン(Ole Kirk Christiansen)氏は、現在、同社を保有するケル・キアク・クリスチャンセン(Kjeld Kirk Kristiansen)氏の祖父にあたる。作っていた製品も木製のアヒルのデコイなどで、同社を象徴するレゴブロックが登場したのは1958年になってからのことだ。国際的ブランドに成長したのは1960年代で、68年にはデンマークで今や最も人気のある観光地レゴランド(Legoland)がビルンにオープンした。

 しかし近年になり、同社は2004年に大幅な赤字を計上。倒産の危機に追いやられた。この年に現職に任命されたクヌッドストープCEOは「行き過ぎた事業多角化」が原因だったと認める。レゴファンたちからは「消えないで」と懇願する手紙がたくさん届いたという。

 クヌッドストープCEOは事業再建を目指し、製造コスト削減や製品改革、発売時期の厳正化などに重点的に取り組んだ。その結果、経営悪化から10年で収益を4倍以上に伸ばし、今年上半期には玩具業界売上ランキングの首位に。文字通り世界最大の玩具メーカーとなった。「これからもレゴは何百年も私たちと共にあるだろう」と同CEOは語った。(c)AFP/Julien MIVIELLE