【12月4日 AFP】国際陸上競技連盟(IAAF)のセバスチャン・コー(Sebastian Coe)副会長は3日、第19回世界陸上の開催国に決まったカタールについて、同国の人権問題を今後注視していくと確約した。

 カタールのドーハ(Doha)は先月、IAAFの評議会員による非公開投票で、バルセロナ(Barcelona)と米国のユージーン(Eugene)を僅差で抑えて開催地に選ばれた。

 しかしカタールについてはすでに、2022年サッカーW杯(2022 World Cup)の会場建設に携わる外国人作業員の待遇が、世界各国で非難の対象となっていたことから、人権団体は今回の決定を問題視している。

 2012年のロンドン五輪で大会組織委員長を務めたコー氏は、カタールにおける労働者の人権問題について、IAAFとしてしっかり取り組んでいくつもりはあるかと問われると、「もちろんだ」と答えた。

「ロンドンの時と同じように、サプライチェーンはできる限り厳密に管理する。そして商業面のあらゆるものが、考えうる最高の基準に従った最高の形で、隅々にまで行き渡ることを目指していく」

「(IAAFの)評価委員会の議長として、カタールのスポーツ相、内務相と話し合いを持った。それゆえその点は、ごくごくつぶさに観察していくつもりだ」

 IAAFの会長選への立候補も表明している58歳のコー氏は、「スポーツにこの問題を持ち込むことが、政治的な意味合いを含むのは理解している。その意味で、国際的なスポーツ機関の責任は大きい」と続けた。

「労働者の待遇や大会開催までの経緯は、連盟にとって、それから特に若い人にとって、とても重要な課題と言える」

「われわれが若い人たちを取りこめば、彼らは世界中で大きな課題となっているこの問題について、倫理的なホットスポットに座ることになる。これは、スポーツが取り組まなければならない不可避の課題だ」

 カタールでは近年、数百人の外国人労働者が死亡している。同国の労働省は11月、2015年の早い時期に新しい法律を施行し、労働者の待遇を改善すると発表している。(c)AFP/Tom WILLIAMS