【12月3日 AFP】米メディアは2日、辞意を表明したチャック・ヘーゲル(Chuck Hagel)米国防長官の後任候補に、アシュトン・カーター(Ashton Carter)前国防副長官(60)が指名される見通しだと報じた。

 元物理学者のカーター氏は、後に国家安全保障政策の政策通として知られるようになった人物。米CNNテレビによれば、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は現在、同氏の指名に向けて最後の調整作業を進めているという。

 CNNが複数の政府関係者の話として同氏の指名を伝えているほか、米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)もこれを報じているが、ホワイトハウス(White House)は同氏が候補者の一人であることは認めつつも、明確なコメントを避けている。また、国防総省関係者はAFPに対してカーター氏が有力候補の一人であることを認めた一方、最終決定には至ったかどうかについては明言しなかった。

 ヘーゲル国防長官が先月辞意を表明した理由については、複数の当局者の話から、イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」の脅威への対応でホワイトハウスの信頼を失ったことにあるとみられている。

■大学教授から兵器のエキスパートへ

 英オックスフォード大学(Oxford University)で理論物理学の博士号を取得、ハーバード大学(Harvard University)ケネディ行政大学院(Kennedy School of Government、ケネディスクール)で教授を務めたカーター氏は、2009~11年に国防総省で武器購入業務を担当。その後、13年まで国防副長官を務めた。国防総省では、巨大な官僚機構であるこの省をより効率的な組織に変革させる改革者を自称していた。

 ハイテク兵器や軍事予算に関する専門家として名を上げたカーター氏だが、兵器計画や技術動向には精通しているものの、戦争戦略を監督する経験は豊富とは言えず、ベトナム戦争(Vietnam War)で従軍し負傷したヘーゲル長官と違って軍歴もない。

 ただ、ビル・クリントン(Bill Clinton)氏、オバマ氏と民主党所属の大統領2人の下で国防省の要職に就いていたものの、特に党派的な人物とは目されていないことから、アナリストらは、米上院は同氏の指名を承認する可能性が高いとの見方を示している。(c)AFP/Dan De Luce