【12月3日 AFP】犯罪の発生を予測するソフトウエアの導入がドイツ・ベルリン(Berlin)の警察で検討されている。このプロジェクトは、米SF映画『マイノリティ・リポート(Minority Report)』に登場する予知能力者らにちなんで「Precobs(プリコブス)」と命名された。

 独企業が開発したこのソフトウエアは、さまざまなデータに基づき、犯罪が発生する可能性が最も高い時間と場所を予測する。現在、独南部バイエルン(Bavaria)州の警察当局で同ソフトのテストが行われており、プリコブスの導入については、テストの結果次第とされている。

Pre-Crime Observation System(事前犯罪予防監視システム)」を短縮したプロジェクト名「Precobs」は、『マイノリティ・リポート』の中で使われた、犯罪の発生を事前に予測する予知能力者らの名称「Precog(プリコグ)」を意図的に取り入れているという。2002年公開のトム・クルーズ(Tom Cruise)さん主演、スティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)監督による近未来を描いたこの映画は、フィリップ・K・ディック(Philip K. Dick)氏の小説に基づいている。

 独西部オーバーハウゼン(Oberhausen)の「Institute for pattern-based Prediction Technique(パターンに基づく予測技術研究所)」が開発したPrecobsは、家宅侵入などの過去の犯罪が起きた場所や時間などの詳細に関するデータに依存している。新たな事件の通報があると、プリコブスはそのデータを分析し、未来の犯罪対象を示唆するパターンを探す。

 バイエルン州のミュンヘン(Munich)とニュルンベルク(Nuremberg)の各都市で行われた、強盗を対象とした初期テストの結果について、同州のヨアヒム・ヘアマン(Joachim Herrmann)内相は「前途有望」と先月発表された中間報告書の中で語っている。

 だが人権活動家らは、2日の独日刊紙ベルリナー・ツァイトゥング(Berliner Zeitung)で、現在の匿名データの代わりにゆくゆくは個人情報が用いられる恐れがあるとの懸念を表明した。(c)AFP