【12月3日 AFP】数十万頭という動物のいけにえを捧げることで知られる5年に1度のヒンズー教の祭りが先月末、ネパールで行われたが、今年は隣国インドが動物の輸出を規制したため、いけにえの数が前回の約30万頭から約20万頭へと大幅に減った。

 この祭りはインド国境に近いネパールの村、バリヤプール(Bariyapur)で先月28、29日に開催された「ガディマイ祭」。力を象徴するヒンズー教の女神ガディマイ(Gadhimai)に対し5年に1度、水牛やヤギ、ハトなどがいけにえとして捧げられるもので、インドやネパールから250万人ほどの信者が訪れる。前回2009年には推定30万頭の動物が首を切り落とされたり、喉をかき切られたりしていけにえとされた。

 この祭りに対し、動物愛護運動家たちからは動物の殺りくを止めるよう圧力が強まっていたが、インドの最高裁判所が今年に入り、この祭りに関連する動物の輸出を禁止。信者たちが水牛やヤギを寺院へ連れて行かないよう、警察に国境を監視させた。

 祭りの主催者側によると、このインド政府の規制措置により、今年いけにえとされた動物の数は推定20万頭と前回よりも約10万頭減少した。「インドの裁判所命令により、いけにえのための動物を連れていた多くの信者が国境を越えることができなかった。結果、今回はいけにえの数がかなり減った」という。

 一方、動物愛護運動家たちは今回の裁判所の決定を称賛しており、ネパールでの動物の虐殺を禁止させるために圧力をかけ続けていく構えだ。

 動物ネパール福祉ネットワーク(Animal Nepal Welfare Network)のマノジ・ガウタム(Manoj Gautam)会長はAFPに対し、「私たちの目標は、動物を宗教的ないけにえに用いるのを完全に止めさせることだ。インドでの輸出禁止措置はかなりの効果があったが、ネパール政府にこの野蛮な儀式を止めさせる必要がある」と話した。(c)AFP