【12月2日 AFP】世界175の非政府の人権団体による連合体、国際人権連盟(International Federation of Human RightsFIDH)は2日、人口増加と土地不足が進む中、立ち退き要求や接収に対し土地を守ろうとする人々(土地権擁護者)に対する暴力が、中南米とアジアを中心に世界的に増えていると警告した。

 世界29か国に関する報告書の中でFIDHは「土地権擁護者は、かつてなかったほど標的とされている。土地に対する圧力は今日、擁護できないものになっており、地域の経済・社会・文化的権利の尊重を要求することは、大きなリスクを抱える行為となっている」と表現している。

 FIDHによれば、2011~14年の間に世界で殺害された土地権擁護者は43人、「法的嫌がらせ」を受けた被害者は123人だったが、これは「氷山の一角だろう」とみている。また世界中で最もこうした事態が懸念されている地域はアジアと中南米だという。

 また、自分たちの土地の権利を守るために立ち上がった人々はしばしば、「警察や軍、民間の警備員、『傭兵』」などに攻撃され、その目的は「投資プロジェクトが中断しないよう反対者を黙らせるため」だという。また「土地権擁護者たちは、他のどの人権擁護者よりも、脅迫、嫌がらせ、恣意(しい)的な逮捕、襲撃、殺害」などを受けているとFIDHは報告している。土地権絡みの殺人や失踪と疑われる例が報告されている国として、メキシコ、コロンビア、ホンジュラス、フィリピン、タイ、ラオス、南アフリカが挙がっている。

 一方、法的助言に頼る手段が少ない土地権擁護者に対する「法的嫌がらせ」のうち、実に95%以上が処罰を逃れていると指摘している。

 FIDHはこの問題を解決するためには、土地権擁護者を保護する国際法の改定が必要だとし、15年の気候変動に関する国際会議での議題とするよう提起した。(c)AFP