男らに絡まれた少女2人を助けた女子学生、殴られ死亡 ドイツ
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【12月2日 AFP】ドイツで、飲食店内で男たちからハラスメント被害に遭っていた10代の少女2人を助けたトルコ系女子学生が殴られ、死亡する事件があった。ドイツ国内では、国家に貢献した市民に授けられる最高の栄誉であるドイツ連邦共和国功労勲章を亡くなった女子学生に授与すべきだとの運動が起きている。
トゥーチェ・アルバイラク(Tugce Albayrak)さんは11月14日の夜、フランクフルト(Frankfurt)郊外オッフェンバッハ(Offenbach)にあるファストフード大手マクドナルド(McDonald's)店舗のテーブル席に友人たちと座っていたとき、悲鳴を聞き、店内のトイレへ向かった。そこでは酒に酔わされた少女2人が男たちのグループからハラスメントを受けていた。
アルバイラクさんは間に割って入り、少女たちをかばったが、その結果、仕返しに暴行されたことが捜査で明らかになっている。少女たちを助けた数分後、アルバイラクさんは店の駐車場で男に頭を強く殴られて昏倒した。昏睡状態に陥ったまま、23歳の誕生日を迎えた28日に病院で亡くなった。
警察は、防犯カメラの映像から18歳の男を特定し逮捕した。独紙ビルト(Bild)によれば、容疑者はアルバイラクさんを殴ったことを認めているものの「軽くひっぱたいただけ」だと主張しているという。
ビルトはまた、アルバイラクさんが暴行された当時、現場の駐車場には十数人がいたことを示す画像を今月1日の同紙ウェブ版に掲載した。警察はこの画像の真正性を確認していない。
初期の検視結果によれば、アルバイラクさんの死因は頭部に強い衝撃を受けたことだという。ただし、警察はこの衝撃が殴られたことによるものか、地面に倒れた際のものかは明確にしていない。
■「ドイツ国民の模範」と大統領
ドイツ国内では先週末、アルバイラクさんを追悼する集会やデモが各地で開催された。オンライン署名募集サイト「Change.org」では、アルバイラクさんにドイツ連邦共和国功労勲章を授与するよう呼び掛ける嘆願に、1日夕方までに15万人が署名。交流サイトのフェイスブック(Facebook)でも、追悼ページに17万人の「いいね」が集まった。
ヨアヒム・ガウク(Joachim Gauck)独大統領も、アルバイラクさんは「これから常に皆の模範となる」「ドイツ国民の感謝と尊敬の対象」だと述べて遺族に哀悼の意を表した。(c)AFP