カミュからサルトルへの手紙発見、暖炉の上で50年
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【11月27日 AFP】フランスの2人の著名な作家で哲学者のアルベール・カミュ(Albert Camus)とジャンポール・サルトル(Jean-Paul Sartre)との間で交わされた手紙の1通が、先ごろフランス国内で見つかった。手紙はカミュからサルトルに宛てたもので、1970年代からサイン収集家の自邸暖炉の上に額縁に入れられた状態で飾られていたという。
実存主義文学の古典ともいわれる小説「異邦人(L'Etranger)」などで知られるノーベル文学賞作家、カミュによるこの手紙には日付が記されていないが、1951年3~4月に書かれたものとみられ、有名な「カミュ・サルトル論争」で決裂した2人の作家が、その少し前には良好な関係にあったことを示すものだ。
専門家が本物であると証明した長文のこの手紙は「親愛なるサルトルへ」という書き出しで始まり、戯曲「悪魔と神(Le Diable et le Bon Dieu)」の上演に向けて準備中だったサルトルに対し、アミンダ・バルス(Aminda Valls)という名の女優の起用について検討を勧めている。カミュはこのスペイン人女優について「人間性の驚異」だと称賛している。バルスは結局、サルトルの舞台には採用されなかった。
19~20世紀の文学作品を扱うフランスの書店、リブレリ・ル・パサージュ(Librairie Le Pas Sage)によると、この手紙は1970年代にあるサイン収集家が入手し自邸に飾っていたもので、最近になって同書店が販売の委託を受け、約1週間前に国内の個人収集家が購入したものだという。
カミュは1950~54年までパリ(Paris)6区の閑静なマダム通り(Rue Madame)にあるアパルトマンで暮らしていた。手紙はその部屋で書いたことをカミュ自身が明らかにしている。
この手紙からおよそ半年後、カミュはエッセイ「反抗的人間(L'Homme revolte)」を出版した。しかし、サルトルがその内容を批判したことから、論争に発展。サルトルは後にカミュとやりとりした手紙のほぼ全てを廃棄したとされている。(c)AFP