戦地で負傷兵救う「画期的治療法」を開発、豪研究チーム
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【11月27日 AFP】豪ジェームズクック大学(James Cook University)の研究チームは26日、戦闘で重傷を負った兵士たちの「画期的な治療法」を開発したと発表した。科学者らは、戦場での負傷者の治療において、ベトナム戦争(Vietnam War)以降で初めての大きな前進となりうるもので、死者を大幅に減らせる可能性があると述べている。
治療法を開発した同大のジェフリー・ドブソン(Geoffrey Dobson)氏は「過去10年間で約5000人の同盟軍兵士が(イラクとアフガニスタンで)死亡した。その87%は治療施設までもたどり着かない負傷後30分以内に亡くなっており、この時間帯が鍵だ。約25%には救命の可能性があったと思われることから、我々の新たな治療法があれば約1000人は救えていただろう」とAFPに説明した。
ドブソン氏と研究員のハーレー・レトソン(Hayley Letson)氏が開発した治療法は、運命を左右する負傷後数分間に血圧を生存可能な値まで上昇させることで、遠隔地で負傷した兵士の生存確率を上げる。「血圧が低すぎれば兵士は死んでしまう。一方、血圧が上がりすぎれば、血液が凝固した部分が破れ再出血しやすくなる」。ドブソン氏は、ハチドリなどの生物で通常1分間に1500回の鼓動が、冬眠に近い休眠中に最大99%減ることにヒントを得たと述べている。
同氏らの治療法は現在、米国の出資によりマウスとブタで実験中で成功すれば、へき地での出産で大量出血した女性の治療などにも応用できるとしている。(c)AFP