最高精度の海洋大循環モデル、GOCE衛星データで作成 ESA
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【11月26日 AFP】欧州宇宙機関(European Space Agency、ESA)は25日、「宇宙のフェラーリ」の異名を持つ科学衛星「GOCE」の観測データを用いて作成した、これまでで最も精度の高い海洋大循環のモデルを公開した。海洋と地球温暖化の主要な影響に関する理解をさらに高める成果だという。
ESAによると、GOCEから地球に送信されるデータは「地球の重力の変動を比類のない精度でマッピングした」ものだという。これにより「海流の流速に関するこれまでで最も精密なモデル」作成への道が開かれた。
大気科学と気候に関する研究を行うイタリアの「Institute of Atmospheric Sciences and Climate」のマリー・エレーヌ・リオ(Marie-Helene Rio)氏は、このデータによって、海洋に関する「非常に貴重な新しい知見がもたらされる」と説明した。
GOCEのデータは、最も高精度の「ジオイド」を作成するのに用いられた。ジオイドは、重力によって形が決まるものとして再現した地球の姿だ。実際に、この作業で作成されるのは仮想的な平均海水面となり、これは地球温暖化に起因する海面上昇の測定に不可欠な基準となる。
オランダの科学者チームは今年9月、2009年11月~2012年6月にGOCEで記録された南極での重力の微小な変動を利用して、南極大陸西部からの氷消失量を前例のない精度で測定できたことを報告している。
2009年に打ち上げられ、地球周回軌道に投入されたGOCEは、2013年11月に地球の大気圏に再突入して消滅した。
GOCEは当初、上空260キロの軌道を周回する予定だったが、後に224キロという史上最も低い高度で地球を周回した。この領域に存在する大気の中で安定性を維持する目的で設計されたこの研究用衛星は、流線型で「ひれ」のある外見から「宇宙のフェラーリ」の異名を取った。
総費用3億5000万ユーロ(約515億円)のGOCEミッションの当初の任期は約20か月だったが、最終的には予定の約2倍の任務期間となった。(c)AFP